寅治郎トライのラジオブログ

   ~ All My Writing Is A Gas♪ Gas♪ Gas♪ ~

BRUTUS「何しろラジオ好きなもので③」読書感想文

どうも寅治郎トライです。

カエサルクレオパトラはセ○クスしました。
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BRUTUS 何しろラジオ好きなもので③】
こちらは2021年の03月01日に発売された雑誌BRUTUSのラジオ特集号になります。大型なラジオ特集の第3弾だそうです。近年、ネットカルチャーの勃興やデジタルツールの発展、それによるインディペンデント志向などはラジオ界隈にも影響を及ぼすようになり、ラジオの新しい形があれこれと模索される時代となりました。

radikoポッドキャストネットラジオ、音声配信アプリ、You Tube、ローカル性を活かした自由な番組、クレイジーなコンセプト・・・and more!

そんな、あらゆる状況や環境を使っての2021年時点でのラジオ界で行われている試行錯誤と、これまで・これからの進化&深化を体現している今現在のラジオ番組達を紹介する、というのがこの雑誌の主旨になっているようです。なので紹介される番組はニッチでドープでカオスなモノが多数あります。とか言いつつも、もちろん王道的なANN特集もあったりします。

そして更にラジオ特集は最後に、東日本大震災後に被災地域への情報発信に尽力した『女川さいがいFM』に触れて完結。流行りのタレントや新しいツールなどが象徴する大きな物語を語るだけがラジオなのではなく、生活に密着した情報を伝え、人々の小さな物語を描写してゆくラジオの姿にも視点が及んでいる特集記事になります。

(芸人ラジオの俯瞰図イラストは壮観ッ!)
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【Jimmie Soul Radio】
私もラジオ特集に習って番組紹介を。私が個人的に懇意にしているラジオにRNCラジオで放送中の『Jimmie Soul Radio』という番組があります。ジミーソウルさんというオラ付いていない穏やかなDJさんがやっている番組で、番組は終始、ジミー(地味)だけどキラリと光るジミー(滋味)深いソウル楽曲が流れます。難解でテクニカルなジャズだけがおシャレじゃない!新旧のソウル名曲に酔いしれるべしッ!

↓ 参考 ↓
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【新しいマネタイズ】
先日知ったのですが『三四郎オールナイトニッポン』では2021年4月よりファンクラブ制を創設して、新しいマネタイズによる番組制作を試みているようです。また放送作家どきどきキャンプ(トイレ担当)・世紀末爆笑覇者ラオウ佐藤満春さんは自身のラジオ『佐藤満春のジャマしないラジオ』で、グッズ販売の収益によって番組制作&番組継続にトライしているとも言っていました。思えばラジオファンは「あの番組、凄ぇ面白いのに何で終わるんだよッ!」と臍を噛んで来たことに枚挙にいとまがありません。『ネタはもちろんリスナーが負う、しかしこれからはマネタイズもリスナーが負う』その辺がちゃんとできれば、会議室での力のある人の思惑で番組が簡単に終わることも減る?そんな時代が来るのかも知れません。(かような新マネタイズは特集には載ってませんが、そんな新しい潮流もあるってことで)

【了】



BRUTUS漫才特集インスパイア記事 ↓
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草下シンヤ「裏のハローワーク/交渉・実践編」読書感想文

どうも寅治郎トライです。

ハロワに行ったという達成感だけでウマイ酒が飲めます!
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【裏のハローワーク/交渉・実践編】
こちらは裏社会・アングラ系の著作を得意にされているライター草下シンヤさんの著作です。以前出版された『裏のハローワーク』の第2弾的な位置付けの本になります。前作は世間から裏っぽいと思われている職業を紹介する内容でしたがこちらの本は、裏っぽい立場の人が普段やっている交渉術を紹介する内容になっております。大体のページが裏の世界や極道の世界からエピソードを得ていますが、そこは遠い世界の話としてエンタメ的に読むもよし、何かを組み替えれば一般人の人生にも活用できると思って読むもよし、現代のホラー作品として読むよし、複合的な読みができるかと思います。複合的な読みができる本こそ、名作だとか名作でないとか、誰かが言ったとか言わないとか。
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【裏の世界は文武両道?】
まあ概ね、わかってはいましたがあちらの世界の方々の交渉力の源泉になるのはやはり暴力。あるいは暴力にまつわる恐怖があげられるようです。じゃ、かといってただオラついて暴力×暴力しているのか、あるいは暴力&暴力しているのか、はたまた暴力of暴力しているのか、と言われたらそうではないらしい。暴力へ至ることももちろんありますが、多くが暴力に至る寸前の覚悟のようなものを交渉相手に伝わるよう、時に迫真の演技で、時に環境を整備したりして、時に意図的に工作して表現しているようです。そこで伝わった覚悟で交渉相手に妥結か譲歩を迫るのが基本理論らしい。まとめれば、裏の方々は交渉で暴力という武力に頼っているようで、実は演技や環境整備や工作などの知恵という文化性にも労力と時間を使っている?そんな見方をすると、交渉の要諦は文武両道にも思えくる(武は武道じゃなくて武力ですけどね)。更に交渉時、文武両道性がスパンとハマレば芸術点まで見えてくる。とまあ、この本はそんな複雑な交渉の世界を覗き見できたりします。



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【裏が表で、表が裏で?】
かように考えておりましたら、裏の世界の文武両道性は何かに似ていると思いました。それはズバリ国家間の外交関係!国際政治ではまだまだ武力が決め手で何かが決まったりしつつも、ただの武力だけで決まってはケシカランというので、国家間の衝突に至らぬよう外交官やらスパイやらが情報収集したり、妥協案やらを模索したりしています。そう思えば、裏の世界や極道の交渉は、実は普遍的な技だったりするのかも。そうなるともはや、何が裏なのか表なのか判然としない。実は裏扱いされているモノにこそ、人間の真理が含まれていたりするのかもしれない、そんなお話。

裏のハローワーク 交渉・実践編

裏のハローワーク 交渉・実践編

【了】


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草下シンヤ「裏のハローワーク」読書感想文 

どうも寅治郎トライです。

ハロワに行っただけで達成感を感じます!
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【裏のハローワーク
こちらはアングラ系の話題を得意にされているライター・作家の、草下シンヤさんによる著作です。世間的に裏と呼ばれたりグレーと呼ばれたり、合法だけど芳しくない噂を聞いたりする職業にスポットを当て、そういう業務をやったことのある当事者にインタビューをし、まとめたのがこの本の内容になっております。裏の仕事の多くは危険と隣合わせで安定もしない、上手くやれば瞬間的にボロ儲けもできるけど長くは続かない、長く続けたとしても己の心が病んでくる。違法路線のモノであれば売れれば売れる程、捕まるリスクだって高まる・・・そんな二律背反でダークな世界を覗きみることができる本です。
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【裏・ネバー・ダイ!】
この本が出版されたのが2004年だそうです。つまりは、本で紹介されている職業は2004年より以前にはすでに存在し、それなりの規模で稼働していたことになります。ですがネット環境が発達した令和の現代でも、手を変え・品を変え・看板を変えて、どこかで聞いたことのある職業ばかりです。そのように長いスパンでも存在している、という辺から察するに、人間は裏やグレーを簡単に切り離せない生き物なんだな、と本を読んで思わされました。結局人間は業を抱えながら生きるのですねぇ。魚も真水には住めないなんて言いますからね。裏と表はコインのようにそもそも一体である的な。人間どんなに表ヅラしてカッコつけたとしても、その時点で既に裏を内包している的な。仕事とは別な話にもなりますが、フィクションの世界などでは裏の何かに通じているキャラクターが人気を博し、シリーズ化したりすることもあります。つまりは裏の立ち位置に惹かれたりする、そんな水脈を誰しもが心に持っていたりするんでしょう的な。



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【日常に潜む裏】
以前ちょっと大きめの、合法的なスケベショップに行った時の話です。スケベDVDをあれこれ見ていたら、突然変なおじさんに話しかけられました。高級感などまるでない、そんな身なりの方でした。「裏のビデオあるんだけどさ、欲しくない?興味ある?」心の準備など無く急にそんなことを言われてビックリしつつ、まあ状況的に怪しさ満点にも思えたので、断ってトットト退店しました。変なおじさんは合法的なショップと何かを共謀していたのか、それともおじさんは裏ビデオの個人バイヤーか何かだったのか、あるいは有名なコメディアンだったのかは判然としませんがこんなことがありました。日常にも裏は潜んでいるのですッ!

裏のハローワーク 特別編集

裏のハローワーク 特別編集

【了】
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和田虫象「きっついお仕事」読書感想文

どうも寅治郎トライです。

お肉体労働でお肉迫ッ!。
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【きっついお仕事】
こちらはフリーライター和田虫象さんが『裏モノJAPAN』でやっておられた連載をまとめた本になります。『裏モノJAPAN』の連載らしく、世の中のエッヂを覗くため、和田さん自身が様々なキワキワのお仕事に実際就いてみて、その業界の体験談をあれこれ語る内容になっております。本で紹介されているお仕事は、内容は皆過酷だし、面接なんてあるようで無い、安全講習も無く即現場、業務中起こるグレー事も気にしない気にしない、雇用主も従業員がバックレるのを想定内にしている、とまさにタフとワイルドな世界観を持つモノばかりです。読めば、男一匹が体一つで食ってくよな、ハードボイルドな読後感を得られるでしょう。

【ドーランの下に涙の?】
市場に『商品』や『サービス』という定義で出回っているものは、お客さんの需要にギリギリまで寄せるため、原料や人の所作の余分な側面を削ぎ落とし、見栄えするよう整えたりしているもんなんだと思います。それらはある意味での下準備や下処理のようなもの。『きっついお仕事』はまさに『商品』や『サービス』が出来上がる過程の下準備や下処理のような役割を持ち、本書は『便利で華やかな消費社会の下に涙のきっついお仕事』そんな資本主義社会の二重構造が描写されております。つまりはエッヂを覗いていたつもりが、いつのまにか巨魁なる資本主義にお肉迫している本でもあります。
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(お肉迫イメージ図)

【荷物仕分けはお肉体労働ッ!】
私も僭越ながら『きっついお仕事』と自ら勝手に定義する運送会社の荷物仕分けの仕事をやっていたことがあります。一晩中、学校の体育館の何倍もの面積に敷き詰められた倉庫内のコンベアー郡やローラー郡をまたぎ、時にその上を走ったりして荷物と格闘しておりました。さばく荷物の量がエゲツないので信じられないスピードが要求されたりします。肉体的にキツく休日は疲れも取れずただ寝てるだけ。倉庫の運営上、火気厳禁なのか冬は極寒、夏はただ暑い。そうして仕分け、積み上げたトンデモな荷物の量は人の欲望の数。私自身そのような消費社会の下支え的な仕事をしていたことがあったため、本『きっついお仕事』を手に取るキッカケになったのでした。
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と言いつつも私が体験した荷物仕分けの現場は、本『きっつい仕事』で紹介されたような蝶野正洋ルックの怖面リーダーなどはいなくて、きっつい所もありましたがまだまだイージーな方であったんだなと本を読んで相対化できました。本来一瞬で判断しなければならない荷物の伝票を、慣れていない新人の私が2秒見ただけで恫喝された、本当にイージーな現場だったんですね😊

きっついお仕事 (鉄人文庫)

きっついお仕事 (鉄人文庫)

  • 作者:和田虫象
  • 発売日: 2017/05/15
  • メディア: 文庫
【了】


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考察系YouTuber キリン「あなたの知らないこの世の闇大全」読書感想文

クンニちわッっ!寅治郎トライでそぉぉ!

こちらは読書感想文です。ではイクゥゥゥッ!
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【考察系YouTuber キリン あなたの知らないこの世の闇大全】
こちらは、考察系YouTuberキリンさんによる著作です。キリンさんと言えば、世の中にある、あらゆる事象を闇視点・陰キャ視点・淫キャ視点で捉えた動画を作成しYouTubeで発信されている方です。怖い話にも、エロとネットスラングを織り混ぜたりするユーモアが動画全体の個性になっているようです。また動画は、ちゃんと編集するタイプの方のようで、素人の取って出し感はなく、都市伝説や怖い話に興味が無い方でもスッと入れるような作りになっているように思います。実は私もかなり見させていただいております。イクっ!

【キリンの闇】
本書は概ね、過去に動画内で伝えた内容を文面に起こしたものが主になっております。どの章も動画同様、ヘビィーに怖い話、ちゃんと怖い話、ひんやりと怖い話、などふんだんなエピソードが紹介されています。もちろんその合間には、動画でオナ染みの「キリン言語」による注釈やツッコミなどがあり、普段の動画と変わらぬキリン感をキリン文体として楽しむこともできます。またプレミアムな特典として本書には、動画ではほとんど語られることの無い、キリンさん自身の生い立ちを語る章も設けられています。文面を読む限り、キリンさんの生い立ちには運命的な、ある意味での深い「闇」が内包されており、闇を語るYouTuberとなった必然性が、強烈な迫真性で迫ってきます。そんなキリンエピソードをいつかアニメチャンネル「秘密結社ヤルミナティ」でやるのかな?知らんけど。
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【♪闇って一体何だーい?】
私の考察では、昔から都市伝説や怖い話は、体験した人が少数な割に人々の記憶に残り語り継がれてきた、というのが印象です。実態は(とてもすく)無いのに想像力だけで闇なるモノとして人々の心に存在するのが都市伝説や怖い話なのです。つまりは、本書の一文にもありますが、人間というのは闇を欲する性質があるということ。もちろん色んな意味での闇へのアプローチや解釈があります。興味本位で覗くだけの闇、エンタメとして消費する闇、人格に憑依する闇。また闇と光はコインの裏表かも知れないし、光へ向かう過程に闇が存在するかもしれない、あるいは人生は本質的に闇で、光に包まれたよに見える今現在は闇へのプロロローグなのかもしれない・・・。本書は、そんな人間に取っての「闇」を思索するに最高のテキストだと私は思うので、ありまぁぁす。

【余談】
キリンさんの動画で以前、オードリーのANNをよく聞いていたと言及したものがあったりしました。オードリーANN的フレーズを引用したり、あばれる君とのコラボ動画もあったりして、オードリーのANNヘビィリスナーである私は、ある意味での心のチンピクを起こしてしまいました。そんな感じでキリンさんはお笑いへのリスペクトもある方のようですから、お笑い心のある方やラジオに心得のある方にも、キリンさんの動画と著作はオススメなのです。都市伝説≒闇≒深夜ラジオ。キットウ🐢どこかでつながってるよッ!

【考察系YouTuber・キリン】あなたの知らないこの世の闇大全

【考察系YouTuber・キリン】あなたの知らないこの世の闇大全

  • 作者:キリン
  • 発売日: 2020/12/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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『近代柔道 1994・07月号』大絶賛発売中ッ!
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(表紙はJDが目印ッ!)
【了】



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「マシンガンズのネガ⇒ポジ」ラジオ感想文&「このゴミは収集できません」読書感想文

どうも寅治郎トライです。

面倒臭ぇ!面倒臭ぇ!ファックス面倒臭ぇ!

【このゴミは収集できません 】
この本はお笑い芸人をしつつも、ゴミ清掃員として働いているマシンガンズ滝沢秀一さんの著作です。読んでみて思ったのは、この人間社会、日の当たっている表の文化行為にだけ民度が現れるのではないということ。ゴミとは人間にとって不要なモノで、今あるものでもちょっと時間が経てばオサラバするのがゴミの宿命。そんなオサラバする対象のモノにどれだけ気を回せるか、オサラバする対象のモノのオサラバ後に一視点、一知恵持てるのか、そこにその人間の文明が現れるのではないか、とこの本は訴えかけます。ジャーナリズムが事件事故を眺めて人間社会の真理に迫るように、ゴミから眺めて人間真理に迫る、そういう本です。

【 漫才 】
マシンガンズさんの漫才は、俗に言う「漫才」ぽい「漫才」ではありません。主に二人でツッコむスタイルなので、マシンガンズさんのネタを見ていると、他の芸人さんのネタよりも強いオラオラ感を感じることができます。乱暴で暴力的、粗野な男のタフな笑いって感じがします。ネタ中は男的なオラオラ感がとても心地良く響きます。




マシンガンズのネガ⇒ポジ】
そしてそんなオラオラ感を軸に、お二人がラジオニッポンでやっている深夜ラジオがラジオ日本「マシンガンズのネガ⇒ポジ」です。
 昨今、世相を見渡せば「もちろん男女公平は必要。女性の社会進出も大いに結構。しかしその代わりに、おじさんを攻撃の的にし過ぎちゃいないか?おじさんの功績を無かったことにしちゃいないか?いくたの荒い現場で、泥を舐め、歯を食い縛って、戦い抜いて磨いてきたおじさん達の知見をナメ過ぎではないか?」と私は思います。
 そんな、勢力を奪われそうになってもギリギリで踏ん張り憤る、現代の壮年男性を代表しているかのようなトークマシンガンズさんは「ネガ⇒ポジ」内で繰り広げております。壮年男性の呻吟と咆哮、妻帯者故の行き場の無い欲求不満などが番組全編にちりばめられていて「失われた男感の怨念」がエンターテイメント的に昇華されています。
 私的には「男なるモノが若年時代に終わりを告げ、壮年時代へと移行する際・移行した際の心境の変化や葛藤」が垣間聞こえるような瞬間がツボです。リアルで生々しくてちょっと怖いけど、とても心に刺さります。

【文芸と漫才とラジオと】
また、荒々しい世界観の芸風を持っているマシンガンズのお二人ですが、実は文芸にも通じていて繊細な一面もあり、ラジオのフリートークの話題が文豪・中上健次氏にまで及んだりします。ネタの見せ方・見え方は暴力的でも、その根幹の言葉選びに日々苦心している漫才師は、文芸に何か感ずるモノがあるのかもしれません。
 とまあマシンガンズさんは、キャリア的にも芸風的にも「若さ」や「華やかさ」や「今風さ」とは違うセンスのラジオ味を「ネガ⇒ポジ」で聞かせてくれます。正に深夜ラジオ然たる深夜ラジオだと私は思うのです。

【了】


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「読書感想文 不要論 2020」について

どうも寅治郎トライです。

苦手だったはずなのに、今はブログで読書感想文を書く人生です!
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| 読書感想文の不要論勃発!
2020年06月29、30日あたりに読書感想文不要の是か非かの論争が、短文投稿サイト・ツイッターを中心に巻き起こりました。発端は、教職を自称している人物がツイッターにて「読書感想文は要らない」という主旨の投稿をしたこと。現在、その投稿をしたとされるツイッターネーム『南部吟遊詩人』という方はツイッターのアカウントごと削除したとのこと。このような経緯です。そこで私もいっちょ噛みして講釈垂れてよかですか?

| 講釈を垂れる
私の意見は「年に一度の読書感想文くらい頑張って書けよ!」って感じです。そもそも小説や新書はそれなりに読み安い作りになっているのですから、学校に行かせて貰って「小説や新書が読めません!」て堂々と言うのは誉められたことじゃない。

「なるたけ一人で、あるテキストを読み込んで内容を咀嚼・解釈して、テキストの視座を借りて自分の人生や世の中について考えれるようになりましょう。そしてそうやってなされた思考は軽文章でいいから表現できるようになりましょう」ってのが文化力の基礎だと思います。なので、テキストの内容が嫌いでもいいし、老若男女が涙流す美文を書けなくてもいいから、せめて「読む→解釈→思考→軽文章」を体感するってのは教育的にいいことだと思います。

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強制されたから読書嫌いになるとか、強制されて書いたから文章に悪いクセが出るから大学のレポートにマイナス、とか言うけど意味がわからないですね。年に一度くらい平易な本読まされたくらいで、読書嫌いになるか?大学入れるくらい勉強したんだから自分で文章のクセくらい直せますよね?読書感想文と大学のレポートっ何で同一視してんの?教育に完璧な自主性なんてありません、それは過理想主義の眉唾、絵空事ユートピア思想です。一定の強制性は受け入れましょう。どうしても!と言うなら自分の子供に自主性のみで物事やらせてみましょう。強制でね!

とかく言う私も、学生時代は読書や読書感想文が好きではありませんでした。なのに今、読書感想文をブログに上げてたりします。価値観の天変地異は人生に置いてあり得ます。学生時代にイヤだったものが好きになったり、学生時代に惚れんでいたモノを無駄だったと思うようになったりします。なぬで読書感想文くらいやったらええやんと思うのです。

| 読書感想文の思い出
高校生の時でしょうか、苦手でもありながら何故か、友達内で私が読書感想文係りになってしまい、近しい友達数人の読書感想文を請け負うことになりました。そしてその時、対価としてプロレスラーのサインやギターの弦を貰ったりしました。そんな思い出。
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【了】



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松田賢弥「影の権力者 内閣官房長官 菅義偉」読書感想文

どうも寅治郎トライです。

読書感想文 機密費を使って飲み食いしたい!
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【影の権力者 内閣官房長官 菅義偉
こちらはジャーナリストの松田賢弥さんによる2015年の著作です。安倍政権で官房長官をしていた菅義偉氏の半生に迫ったノンフィクション作品です。政治家・菅義偉氏の生い立ちから政界進出、いくたの紆余曲折を経ての官房長官職での辣腕ぶりなどが記されております。松田賢弥さんは反小沢一郎的ジャーナリストでも有名な方で、本中盤では豊富な反小沢一郎知見を使って、小沢一郎氏と菅義偉氏を比較することで菅氏の政治スタンスに迫る箇所もあったりします。総じて本書は全編、親菅義偉感の強い読み心地になっているというのが印象です。

【大勢には張らない】
本を読んで思ったのは、菅義偉氏は独特な勝負勘と勝負眼を持っている人なんだなぁということ。1998年の自民党総裁選では大勢ではない、しかも本人自身躊躇していたのにも関わらず梶山静六氏を説得してまで出馬させて応援したり、2000年の加藤の乱では、趨勢が決していても加藤氏に「内閣不信任案投票の本会議に出席した方がいい」と進言したり、2012年の自民党総裁選では当時第一次政権の負のイメージが強かった安倍氏を応援し決選投票まで持ち込んで見事、逆転勝利に導いたりと結構キワキワの勝負をこれまでしてきたようです。勝ち馬やポストや多数ではなく『人』を見ての判断なのでしょうか。もちろん負けもありますが、絶妙なラインを攻める胆力がある人なんだなぁと思いました。
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【名官房長官
日本の戦後の歴代政権で名官房長官と言われる方々がいらっしゃいます。中曽根内閣の後藤田正晴氏や、森内閣野中広務氏などです。恐らく安倍政権を7年間も陰に陽に支えたワケですから、菅氏も名官房長官と言われるだろうと私は思います。名官房長官は大体が『自分は総理の補佐役である』というマインドの元、仕えた総理が引くとなると自分も一旦引くようですが、いろんな背景もあり菅氏はなんと総理大臣になられました。ちゃんとした定義的に政権のNO2とは幹事長を指すのか、官房長官を指すのか、副総理を指すのかはわかりませんが『NO2がトップになると碌な事がない説』を言う人もいます。そんな俗説を頭に入れつつ、名官房長官は名総理になれるのか、名官房長官上がりの総理はどんな名官房長官が指命するのか、菅政権にはそんな見方もあるのかなぁなんて思っています。

【了】


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菅義偉「政治家の覚悟~官僚を動かせ~」読書感想文

どうも寅治郎トライです。

読書感想文機密費で飲み食いしたいです。
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【政治家の覚悟~官僚を動かせ~】
こちらは政治家の菅義偉さんによる2012年の著作です。菅義偉さんと言えば今や総理大臣になってしまったお方です。本書はそんな菅さんの2012年辺りまでのキャリア、総務副大臣総務大臣時代のあれやこれやなどが書かれており、様々なエピソードを例に上げて、政治家と官僚の調度いい距離感について多く言及されております。これまで菅さんがやってきた官僚との緊張感のあるピリついたやり取りの描写などは必読かと思います。内容的には、近年の『鬼の官房長官』『令和おじさん』などと言われる前の、第2次安倍政権以前の菅さんの問題意識を扱った本ということになります。

【政治家・官僚・国民】
世の中を見渡すと、国民が官僚を悪く思っていたり、官僚は国民をアホだと思っていたり、政治家は国民の方向を見ずカネばかり見ていたり、などなど政治家と官僚と国民がそれぞれ反目し合っているのではないか?と思う瞬間があったりします。当たり前なのですが、それぞれが同じ方向を向いてこその行政であり国家運営、国民国家でありましょう。この手の視点で読むと、著作からは菅さんの『ただの官僚批判に堕することなく、官僚の智恵や能力を引き出し国民生活に資することを旨とする政治スタイル』が見えてくると思います。そして師事していた梶山静六氏からの教えや、民○党の行きすぎた官僚叩き、自身の政治キャリアの中で、菅さんは『官僚を動かすには人事を握るべし』という答えに辿り着いたようで、それは安倍政権の官房長官時代に活かされているようです。
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【注目点】
巷では『政権のNO.2が宰相になると意外に低調』だとか『官房長官は絶大な権力とカネが使えるから一度経験すると自分の能力を過信する』などの俚諺を聞いたりします。菅さんは安倍政権ではNO.2的な立場だったと思いますし(役職の実序列はわからんが、麻生氏や二階氏よりは実質NO.2感はあった)、長い間官房長官だったので、個人的に上の俚諺はどんなもんかと菅政権を見ております。

また、携帯・スマホの低料金化に度々言及しておられるので実現するのか要注目。携帯・スマホの現在の普及率や未来へ向けての潜在力を考えると、低料金化が実現すれば、広く国民の負担軽減に寄与したことになり、未来をも見据えた政策とも言えるのではないでしょうか。携帯・スマホの低料金化はある意味、憲法改正よりレガシーになると私は思っています、多分ネwww

官僚を動かせ 政治家の覚悟 (文藝春秋企画出版)

官僚を動かせ 政治家の覚悟 (文藝春秋企画出版)

  • 作者:菅 義偉
  • 発売日: 2012/03/13
  • メディア: 単行本

【了】


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渡辺乾介「小沢一郎 嫌われる伝説」読書感想文

どうも寅治郎トライです。

読書感想文党を立ち上げます!
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小沢一郎 嫌われる伝説】
こちらはジャーナリスト渡辺乾介さんの著作です。渡辺さんは親小沢のジャーナリスとして有名な方です。2009年辺りでしょうか、小沢氏叩きの記事や本がやたら盛り上がりましたが、こちらは2009年に出た親小沢の内容の本になっています。渡辺さんと小沢氏が近いことから、小沢氏のちょっとしたプライベートな記述もあったりで、貴重な小沢研究になる一冊かと思います。

【権力の源泉】
1993年の衆議院解散・総選挙で55年体制が崩壊して、日本政界の大事件史に数えられる細川8派連合政権ができました。しかし細川氏が選挙中に「8派連合作るぞ!」といって選挙活動をしたわけではなく、開票結果の時点では、どことごこが連立を組むかなど情勢は流動的で、自民党側にも日本新党と連立しようかなどの案もあったともいいます。しかし当時、政局勘が冴え渡っていた小沢一郎氏がいち早く動き、日本新党口説き、細川8派連合政権の流れを作ったそうです。この時の小沢氏の着目すべきは手法は、連立内で一番数が多いわけではない日本新党から総理を出すことを、瞬間的に決断したということ。社会党でもなく、新生党でもなく、日本新党。「新生党総理なら社会党が反発したかもしれないし、社会党総理なら新生党が反発したかもで、そもそも連立にならない。ならば日本新党総理で!」という政局を微細に読み、繊細な判断でまとめ上げたことは、それ以降も政界で語り継がれています。そしてこの一件が、政界でも世間でも、小沢神話のような感じで捉えられ、小沢氏が野党に下ってからも一定の存在感として恐れられるキッカケになったように思います。そしてそれが2009年の政権交代へつながったということなんでしょう。

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【神話という政治手法】
田中角栄神話の強い時代に、角栄の秘蔵っ子という神話の登場人物のような立場で政治家としての研鑽を積み、やがて自らが時の巨大勢力であった自民党を大胆にも繊細な裁きで下野させることで、新しい神話の登場人物かのように称賛され、それで政界での影響力を培ってきたのが小沢氏の手法なんだろう、と私は推測しています。カネで政治的影響力を作っていった人、地道な努力で政治的影響力を作った人、大衆人気で政治的影響力を作った人、政界には様々な方がいると思いますが、神話型の人は中々いないんじゃないかなって思っています。もちろん神話だけってことじゃなくて、基礎にはご本人の選挙、政策、交渉力あっての話ってことをお忘れなく。

小沢一郎 嫌われる伝説

小沢一郎 嫌われる伝説

【了】


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小沢一郎「日本改造計画」読書感想文

どうも寅治郎トライです。

読書感想文を剛腕で書きます。
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日本改造計画
こちらの本は、政治家・小沢一郎さんによる著作です。1993年に発売され、ベストセラーにもなった本です。規制緩和、軍隊の正式な保持、などの政策を掲げ、『日本を普通の国する』という触れ込みで書かれました。といっても、最近の研究では、小沢さん本人が隅々まで書いたのではなく『当時の小沢さんの主張に共鳴した中堅・若手の官僚、評論家、学者の方々が書いた内容を小沢さんが決裁して世に出した』ということがわかっているらしいです。まぁ当時の小沢さんは忙しいでしょうからネ。

【権力の源泉】
小沢さんの権力を分析してまみす。新人~94年くらいまでは、自民党最大派閥の田中派に属していたことが権力につながった風に思います。また小沢さんを指して『田中角栄氏の寵愛を最も受けた人物』という言い方がある通り、時の政界の実力者・田中角栄に見入られたことが大きなファクターに見えます。田中角栄氏は長年自民党の最大派閥の長として君臨し、隠に陽に日本の政治史に莫大な影響力とインパクトを行使してきた方ですから、そのような人に目をかけて貰っていたとなると、それだけで政界では一定の権力になったのではないかと推察できます。もちろん政界は魑魅魍魎が跳梁跋扈する世界ですから、小沢さんご本人の実力もあっての権力ですが。1987年には小沢さんは、竹下派の中心メンバーにはなりましたが、それでもまだまだ時代的に田中角栄神話には一定の力があったため、田中角栄を師事していたことが小沢さんの権力にはなり得ていたのかな、と思われます。そして89年海部政権時代、48歳の若さで自民党の幹事長に就任します。

90年 湾岸戦争 勃発

91年 湾岸戦争 終結

93年 日本改造計画を出版

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湾岸戦争ワシントンポスト事件】
日本は湾岸戦争で130億ドルを提供したのに湾岸戦争終結後、クウェートが出したワシントンポスト紙での感謝広告に『JAPAN』の名前が載ってなかったということが話題になりました。結局、増税までして資金を捻出したのに、国際社会では認められなかったということ。カネだけ出しても汗をかかなくては敬意を得られかったということ。このことは取り分け外務省に強いトラウマになったといわれております。これがキッカケで、外務省中枢では少しずつ自衛隊の海外派遣(軽い武力行使も含む?)への道を模索する流れができていったそうです。そんな事情があったため、湾岸戦争後の外務省内で『普通の国家を唱えていた小沢一郎のシンパが急増した』と元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏が証言しています。角栄の秘蔵っ子ということで得ていた権力に、湾岸戦争後に外務省が小沢さんについたことで、小沢さんの政治家としての基礎権力がより磐石になったのではないかと推測されます。そのようにして、元々強かった権力に更なる自信を深めた小沢さんは1993年の政変で自民党を飛び出し、細川政権樹立を成し遂げたのではないでしょうか。

日本改造計画

日本改造計画

  • 作者:小沢 一郎
  • 発売日: 1993/05/21
  • メディア: ハードカバー

【了】


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「蟹工船」小林多喜二 読書感想文

どうも寅治郎トライです。

感想文工船で読書感想文を搾取したいです。

蟹工船
こちらは作家・小林多喜二さんによる小説です。大正時代・昭和時代の資本家と労働者の問題をテーマにした内容で、プロレタリート文学の最高峰と言われる作品です。初出しは1928年・昭和3年。現代的な感覚では長く『古典的名作』という感じで読み継がれてきましたが、近年派遣労働の実態などが社会問題化したこともあり2008年、時を越えてブームになり映画化もされました。90年前に描写された労働者の抱えていた葛藤と、今現在の労働者の葛藤が重なったという事実は、文学的には幸福なようで社会的には不幸にも思えたりするわけで。一言で言えば、資本家と労働者の対立は旧くて新しい問題なんだと思います。

【資本主義】
国家や人々が資本主義を受け入れなければ、今風のモノやサービスに溢れた世の中にはなっていません。昔の農村型社会の延長にある現在の地方の山村型の地域では、モノやサービスの溢れた都会への人口流出が止まらないといいますから、人々はなんだかんだ言って資本主義社会を肯定した、というのが私の理解です。また、資本主義と人々の関係を考える時、かつて社会主義の大将・副将と思われていたソ連や中国が、今や崩壊したり過当資本主義をやっているというのがとても示唆的です。もはやほとんど資本主義に一撃を喰らわす社会主義はありません。要はどういうトーンの資本主義をやっていくのか?ってのが現代の議題になったのです。




【金でモラルを破壊】
個人的に印象に残っているのは、船長が航行中に持っている権限を金融支配によって監督(資本家側)に制限されているシーンです。元々、海や船のスペシャリストである船長。その船長の権限や判断力に金を使うことで監督側が介入する、ひいては金が有り得べき船上のマナーやモラルなどを破壊できるということ。そしてのツケは往々にして立場の弱い人が負わされること。こういう問題意識は、90年前から変わらず存在すると思い、不思議な感慨を得たりしました。

【以外にエンタメ!?】
実は前評判などからてっきり最後は『労働者が団結して悪しき資本家をオリャーしてジャンジャン!』な小説なのかな、なんて思っていたのですが、駆逐艦と監督が繋がっていたラストにある種のどんでん返しを感じてしまい、読後感がザワついてしまいました。実は私は、普段エンタメ的な小説を読まないのでこの予想外の展開にキュンとしてしまいました。これがエンタメか!なぬで『蟹工船』はエンタメとしての読みもできる!かも。

【了】


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水野和夫「金融大崩壊~『アメリカ金融帝国』の終焉~」読書感想文

どうも寅治郎トライです。

読書感想文を証券化します。
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【金融大崩壊 ~「アメリカ金融帝国」の終焉~】
この本はエコノミスト水野和夫さんによる著作です。テレビなどにも出演されたりしている方です。2008年のアメリカ発の金融危機リーマンショックの詳細とそれにいたる経緯などをメインに、リーマンショック後の世界経済などを分析している本です。全体的にアメリカの新自由主義に懐疑的なトーンが貫かれてる筆致となっております。

【1995年の強いドル政策】
本では、リーマンショックを生んだ一因として、1995年クリントン政権による強いドル政策を指摘しております。それまでドル安調をよしとしていたアメリカ経済が、真逆のドル高を志向するようになったと言います。その心は『ドル高で世界中からお金を集めて、そのお金で投資して、貿易赤字分を上回るぐらい儲ける』という意図だったらしい。そういうあり方を『アメリカ金融帝国』と比喩しております。結局は、一国の経済政策として登場した1995年の強いドル政策は、投機スジの主導が目立つ、極めて作為的で投資銀行的で、実態経済や米国民生活を無視した一方的なやり方だったそうで、この路線が最終的に、2008年のリーマンショックにつながったそうです。
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【マネーの暴走?】
『お金無しで人生をやっていくよりも、お金を上手に使っていった人生の方が結果、人間は人間の質や能力をブーストさせた状態に持っていける』と改めて定義されずとも、人類は何千年も前から、適度にお金を肯定した生き方をしております。しかし時に人間は、過剰にお金を肯定してしまう瞬間があります。その心理が、バブル経済リーマンショックなどを引き起こしたりすのだろうう、と本を読んで思いました。当事、リーマンショックを指して『マネーの暴走』『資本主義の暴走』とよく言われてるのを目にしました。もちろん、マネーが!資本主義が!という言い方は正しいのでしょうが、私は『人間の暴走でもある』と思ったりもしています。マネーも資本主義も、物質であったり思想だったりするので、暴走したのはそれらを運用した人間であることを忘れてはなりません。今現在の人間のポテンシャルを極端に越えたお金への執着は、人様を巻き込んだ不幸を招くのでしょう。あくまでカネの運用は♪たのしく楽たのしく~やさしくね~♪が原則なのでしょう。90年代のアメリカの経済政策に、90年代の日本の大衆音楽の一節を当ててみました。

たのしく たのしく やさしくね

たのしく たのしく やさしくね

  • アーティスト:華原朋美
  • 発売日: 1997/09/18
  • メディア: CD

【了】


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西村賢太「苦役列車」読書感想文

どうも寅治郎トライです。

読書感想文で日銭を稼いでみたいです。
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苦役列車
こちらは作家・西村賢太さんによる小説です。2011年の芥川賞を受賞した作品としても有名で、記憶が曖昧で申し訳ないですが確か当時「風俗で3Pする直前に芥川賞受賞の知らせが来た」なんて記事が東スポに載っていたような覚えがあります(違ってたらメンゴ!)。とまあそんな性欲エピソードを世に出すのも厭わない気質をお持ちの西村賢太さんの作風は、私小説と言われております。私小説の路線の人だから風俗性欲エピソードもOKなのかな?

【人間の醜悪を描く】
やはり世の中は完璧ではないので、人は自分では差配できない生い立ちによって辛い思いもするし、人生がよろしくない方向へ決定付けられたりしますが『苦役列車』はそのような状況下で苦しむ人物を主人公に置き、ただただ主人公の怠惰や嫉妬、偏見などの醜悪な側面を描いております。苦境から立ち上がるべく奮闘するような高邁な精神を軸にした物語ではないので、読後には人間の元来持つしょうもなさを再確認できます。私小説には視野狭窄の言われもあったりするそうですが、トーンとクオリティによっては、より人間の本質にまで肉薄できる手法なのかもしれません。『苦役列車』は、私小説という形を取りながら人間内部のクズ性に普遍性を与えている、という読みもできるかと思います。

【深夜ラジオ】
また非常に個人的な感想なのですが、お笑いの深夜ラジオのエロ・グロ・ナンセンス・斜め見がイケる人は『苦役列車』の持つアート性に親和性があるように思いました。深夜ラジオのネタにあるような、自分よりもおいしい思いをしてそうな層を敵視し、攻撃的に口撃するような感覚と『苦役列車』に感じるエネルギーに類似性を感じました。密かに他者への恨み辛み妬みを腹に抱えて生きる人にはきっと届く作品です。あと深夜ラジオのフリートーク私小説ってほぼ似てるなと思いました。フリートーク私小説も自分の周りで起きた事を基礎にトークにしたり、小説にしたりするわけですから、話者のニッチな視点を楽しめる深夜ラジオ好きは私小説がお好きかも。
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【時を駆ける作品】
西村賢太さんには自身が貧困から抜け出せずにいる境遇の中、大正時代の作家・藤澤清造氏に熱烈に傾倒したというエピソードがあります。藤澤清造氏の没後弟子を自称し全集発売に動いたとか、藤澤清造氏のお墓の隣に自分のお墓を立てたりしたらしいです。自分の不遇時代に己の価値観を貫ぬかれて魂持っていかれたわけですから、並々ならぬ思い入れのようですね。文学が人へ与える影響力、いや魔力を感じずにはいられません。そして改めて、思いを『作品』という形にして置けば、時代を超えて誰かの心に届くのだなぁと思わされました。『作品』は時代を駆けるんです!

苦役列車 (新潮文庫)

苦役列車 (新潮文庫)

【了】


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村上龍「鐘が鳴る島」読書感想文

どうも寅治郎トライです。

熱帯夜・寝れずに次の日・眠たいや。
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【鐘が鳴る島】
こちらは村上龍さんによる短編小説です。『悲しき熱帯』という短編集に収められています。『悲しき熱帯』は文字通り、熱帯地域が設定になっていて、俗に言う西洋文明に染まってない人々のあれやこれやを描いた作品郡です。その中でも私は『鐘が鳴る島』をとても印章深く読みました。以下ネタバレあらすじです。

【あらすじ】
過去にロック歌手で成功した白人サージアン・ラグクラフトが、熱帯地域のとある島へ移住してきた。サージアンは無愛想で、島の住民の間に溶け込もうとせず、軽い自作農をするだけで小屋に籠るような生活をする。

ただ一人、父を亡くした島の少年とだけは一応の交流を持つ。サージアンは鐘の音の録音されたレコードを大音量で自分の小屋で流し始める。少年はその大音量の鐘の音を聞いて父親を思い出す。レコードの鐘の音は島に馴染んだ。

そんなある日、サージアンの噂を聞き付けて(恐らく白人の)新聞記者とカメラマン取材のため島にやってくる。少年が彼等をサージアンの元へ案内するとインタビューが始まる。最初は何も語らなかったサージアンだが、ウィスキーを飲むとこれまでの身の上を独白し始める。その内容は荒唐無稽で、キ○ガイ染みているエピソードばかりで新聞記者とカメラマンは「サージアンは狂っている」と判断する。

その後少年は、サージアンがどうして島で鐘の鳴るレコードを流したのか聞くチャンスを得る。サージアンは「冒頭で鐘の鳴る曲の着想を持っていて、その曲を作るために鐘の鳴るレコードを流して聞いている、だが曲はできていない」と答える。それからもサージアンは鐘の鳴るレコードを流して暮らしたが、やがて島を出て行きどこへ行ったのかはわからない。
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【感想】
サージアンというキャラを掘り下げるための過剰な語りや説明がないので、サージアンの行為行動が際立ちやたらカッコいい人物像に思えました。特に終盤のサージアン自身による、精神異常なのか、あるいはそう見せるための狂言かの独白部分は圧巻で、私的にはこの短編小説の白眉たる箇所に上げたいと思います。また私は個人的に、世間から離れた半農・半自然的な環境での隠遁生活に憧れを持っているため、そのような視点からもサージアンの島での暮らしぶりや、島の描写の雰囲気に感情移入して読むことができました。『鐘が鳴る島』はキャラや設定の濃淡・展開など、短編という尺にスパンッと嵌まったような読後感を持つ作品です。

悲しき熱帯 (村上龍電子本製作所)

悲しき熱帯 (村上龍電子本製作所)

【了】


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