寅治郎トライのラジオブログ

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佐藤優「『資本論』の核心」読書感想文

どうも寅治郎トライです。

読書感想文の剰余価値はありません。
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資本論の核心】
こちらは、作家・元外務省主任分析官の佐藤優さんの著作です。内容の構成はちょいと複雑で、カール・マルクスの『資本論』を研究した経済学者・宇野弘蔵さんによる著作『経済学』などを中心に『資本論』の理解を深めて、現代の『資本主義』を見る目を養って行こうという主旨の本です。『資本主義』を研究したのが『資本論』で、『資本論』を研究したのが『経済学』で、『経済学』を研究したのが本書『資本論の核心』という構造になります。そうやって考察された『資本主義』の実態や手法は分かりやすく、更に現代を生きる我々に有益な視点をもたらしてくれます。

【NOTICE!】
注意があるとすれば、宇野弘蔵さんは『資本論』の『資本主義を研究&考察した部分』と『共産主義社会主義を賞揚する部分』を分けて考えていて『資本主義を研究&考察した部分』の科学的客観性を肯定し『共産主義社会主義を賞揚する部分』には賛同していない立場を取っています。佐藤優さんもその立場を踏襲しています。なので本書は『××革命!ワッショイッ!』系の内容ではありません。『資本論』を扱っているからとて、短絡的にヒダリー(左派)の話だと解釈してはいけません。あくまで現代に通ずる資本主義のお話がメインの内容です。もちろん『資本論』も『経済学』も過去の著作だから今の感覚と相容れない所は少しはありますから「その辺はわかってくれよ」っ感じで。また佐藤優さんの他の著作のように政治・外交・安全保障を話題にした本とは毛色が違って、当たり前ですが『資本論』言語が飛び交います。
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【資本主義を知る】
読んで思ったのは、資本主義の中にいては、真に資本主義の実態はわからないものだということです。現代を生きる人々の多くは、資本主義に生まれ、資本主義で教育されたので、資本主義のグロさに簡単には気付けない。ましてや昨今、社会主義勢力の衰退で、資本主義の悪しき側面を糾弾してくれる勢力もいないので、資本主義にブレーキがかかり辛く、暴走し安い状況下にあります。なので時に、資本主義を客観的科学的に考察した著作に触れて、もう後には戻れない今の資本主義にどう対応すべきか思索を巡らすことが必要だと思いました。そのためヒントが散見される本です。かといって、すぐ効く処方箋的な知恵を授けてくれる本ではありません。そこはやはり読んだ人間が『前を向いた、しっかりとした』思考に繋げていくべきでしょう。

【備忘!】
以下本書での、私の問題意識と重なった箇所の要約と抜粋のようなモノを備忘がてら上げてイキます。

  • 資本主義をやると必ず、格差ができて階級ができる。そして貧困や疎外に至る。それは資本主義が引き起こしたことなので、本人の努力不足とは違う視点が必要。資本主義とはそもそもそういうモノ。
  • モノやサービスが溢れた社会は、労働力商品化があってこそ成立する。しかし人間の労働力商品化は搾取や疎外を生む。
  • 商業は伝統的共同体を破壊する
  • 資本主義国の福祉政策は、社会主義政権ができないための必要経費
  • 現在、社会主義の大将みたいな国は存在せず、資本主義の矛盾を批判する勢力がいないので、福祉は削られ安い
  • 機械化は非熟練工を増やし搾取へつながる
  • 収奪には大規模な暴力が使われるが、搾取に暴力は使われない。搾取は合法的に少しずつ行われる
  • 資本論の結論/資本論主義社会では自由や平等を謳った市場の交換行為によって階級支配されるので、経済に批判的な目で見ない限り実態に気づけない

【了】



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