寅治郎トライのブログ

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中上健次「灰色のコカコーラ」&佐藤友哉「灰色のダイエットコカコーラ」読書感想文

どうも寅治郎トライです。

フリスクを23錠、読書感想文のために飲もう。

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【灰色のダイエットコカコーラ】
この本は佐藤友哉さんの長編小説になります。世の中の『普通の価値観』にコミットを見いだせず、犯罪行為をも辞さない、ワナビー気質の強い若者と、その周辺の人々のワチャワチャを描いております。主人公はローカルな支配者を目指していて、舞台は北海道、1999年。佐藤さんは、中上健次さんに影響されたそうで本作のタイトルは『灰色のコカコーラ』のオマージュにあたると思われます。

(「灰色のコカコーラ」在中)
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【灰色のコカコーラ】
こちらの本は中上健次さんの初期の中編小説になります。恐らく1970年代辺りの、世の中に積極的価値を見いだせず、アンモランも厭わず自堕落な生活を送る若者を描いております。主人公は常に鎮痛剤を服用し、不健康状態でないといられない感じ。今でいうなら『闇堕ち』などの言い方にでもなるのでしょうか。作中では『フーテン』とも言っています。

【作風】
作品のトーンは『灰色のコカコーラ』の方はリアリズムを基調に自分語りが少なく淡々と話しが進み『灰色のダイエットコカコーラ』の方は設定やキャラや展開が苛烈なのでフィクション度がより強い、そのような感じがします。

【若者あるある】
両作品に共通しているのは『自分の周りの環境はほとんど低俗だと思っていて、何も結果を出せていないのにも関わらず、全能感・万能感はやたらあり、暴力衝動まで持ち合わせている。かと思えば急に自分を「ウジ虫」と嘆いてみせる』そんな強気と自虐のメンタリティを持ち合わせた19歳の男を主人公にしてあること。中上健次さんは1946年生まれ、佐藤友哉さんは1980年生まれ。異なった時代に生まれ、それくらい年が離れている作家二人の問題意識と表現意欲が、似たような人物を設定したことを思えば、上記の若者像はある側面の普遍性、一定の『若者あるある』を射ぬいているともいえる。

【転向】
しかし中編の限界なのか長編の要請なのかわかりませんが、設定人物は似ていてもオチは違っています。平均な価値観とは相容れぬ人物が両小説をスタートさせますが、一方は平均を受け入れずそのまま、もう一方は平均を受け入れ思想的『転向』が示唆されて、物語は終了します。両作品を同時に読むと『時代の若者描写』という枠を越えて、人間にとって『転向』は勝利なのか敗北なのか、あるいは勝敗とは違う第三視点で捉えるべきか、そんな思考的八つ裂きを体験できます。八つ裂きはオススメです。

灰色のダイエットコカコーラ (星海社文庫)

灰色のダイエットコカコーラ (星海社文庫)

【了】

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