どうも寅治郎トライです。
熱帯夜・寝れずに次の日・眠たいや。
【鐘が鳴る島】
こちらは村上龍さんによる短編小説です。『悲しき熱帯』という短編集に収められています。『悲しき熱帯』は文字通り、熱帯地域が設定になっていて、俗に言う西洋文明に染まってない人々のあれやこれやを描いた作品郡です。その中でも私は『鐘が鳴る島』をとても印章深く読みました。以下ネタバレあらすじです。
【あらすじ】
過去にロック歌手で成功した白人サージアン・ラグクラフトが、熱帯地域のとある島へ移住してきた。サージアンは無愛想で、島の住民の間に溶け込もうとせず、軽い自作農をするだけで小屋に籠るような生活をする。
ただ一人、父を亡くした島の少年とだけは一応の交流を持つ。サージアンは鐘の音の録音されたレコードを大音量で自分の小屋で流し始める。少年はその大音量の鐘の音を聞いて父親を思い出す。レコードの鐘の音は島に馴染んだ。
そんなある日、サージアンの噂を聞き付けて(恐らく白人の)新聞記者とカメラマン取材のため島にやってくる。少年が彼等をサージアンの元へ案内するとインタビューが始まる。最初は何も語らなかったサージアンだが、ウィスキーを飲むとこれまでの身の上を独白し始める。その内容は荒唐無稽で、キ○ガイ染みているエピソードばかりで新聞記者とカメラマンは「サージアンは狂っている」と判断する。
その後少年は、サージアンがどうして島で鐘の鳴るレコードを流したのか聞くチャンスを得る。サージアンは「冒頭で鐘の鳴る曲の着想を持っていて、その曲を作るために鐘の鳴るレコードを流して聞いている、だが曲はできていない」と答える。それからもサージアンは鐘の鳴るレコードを流して暮らしたが、やがて島を出て行きどこへ行ったのかはわからない。
【感想】
サージアンというキャラを掘り下げるための過剰な語りや説明がないので、サージアンの行為行動が際立ちやたらカッコいい人物像に思えました。特に終盤のサージアン自身による、精神異常なのか、あるいはそう見せるための狂言かの独白部分は圧巻で、私的にはこの短編小説の白眉たる箇所に上げたいと思います。また私は個人的に、世間から離れた半農・半自然的な環境での隠遁生活に憧れを持っているため、そのような視点からもサージアンの島での暮らしぶりや、島の描写の雰囲気に感情移入して読むことができました。『鐘が鳴る島』はキャラや設定の濃淡・展開など、短編という尺にスパンッと嵌まったような読後感を持つ作品です。
【了】
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