寅治郎トライのラジオブログ

   ~ All My Writing Is A Gas♪ Gas♪ Gas♪ ~

橋下徹「政権奪取論~強い野党の作り方~」読書感想文

どうも寅治郎トライです。

人の世の万年野党をやっています。
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【政権奪取論~強い野党の作り方~】
この本は、元大阪府知事・元大阪市長日本維新の会の始祖である、橋下徹さんの著作です。タイトルと表紙の写真の感じから、激アツで右々しい絶叫スローガンの連続集のように思ったのですが、そういう感じの内容ではなく、大阪府大阪市で行政のトップとしてやって来たことの中でも報道されず地道にやってきたとを語ったたり、国政では野党で権力を持っていない維新の会を取り上げて、真摯に足りない所などを指摘している本です。行政の長の経験からの物言いが多く、小美しい理想論に堕することなく、シャープでリアルなモノ言いが光ります。メディアでのオラオラしてる橋下さんしか知らない人(私もそうでした)に読んで欲しい著作です。

【野党を語る本!?】
政治家の著作は数多ありますが、大体は『自分が与党になったら○○する』『自分が総理になったら○○する!』みたいな内容が多いものです。しかしこの本は、野党論に大幅に尺を使っていて、珍しい感じがしました。もちろんこの本で橋下さんが論じている野党とは、近未来に政権を取るとことが前提の、政権担当能力があり、常に政権交代の芽のある、いわゆる野党第一党のような野党です。また野党にフォーカスしているからといって、決して政治思想本として内容が弱い感じもしません。与党でキッチリ仕事するための前段階としての野党のあり方を語っているので、寧ろ政治思想本として説得度が高まっていると思います。

【保守・リベラル論争は要らない】
読んでなるほどと思った所に『評論家的な保守・リベラル論争は要らない』という箇所があります。ある政策の保守度がとれくらいか、リベラル度がどれくらいかは一律ではなく、個別の政策ごとに決めるし、しかもその手の決め事は山ほどあるので、『保守陣営vsリベラル陣営』みたいな大仰な話は要らないというのが実態だということらしいです。こういう言及から、政治を『論』じる側と、政治を『執』り行う側では認識に相当な隔たりがあることが窺われます。政治を知るに報道やアカデミズムだけではダメなんだな、と勉強になりました。

【野党とは?】
そして野党とは『選挙に勝って与党になってこその野党なので、結局は野党はまとまることが大事。そのまとまる力・まとめる知恵こそが政治力の源泉になる』と言い『まとまる力・まとめる力とは人間力』と喝破します。厳格な論理や法理の飛び交う世界でやってきた人からの『人間力が必要』との主張がとても印象的でした。

政権奪取論 強い野党の作り方 (朝日新書)

政権奪取論 強い野党の作り方 (朝日新書)

  • 作者:橋下 徹
  • 発売日: 2018/09/13
  • メディア: 新書

【了】


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中曽根康弘「自省録」「保守の遺言」読書感想文

どうも寅治郎トライです。

読書感想文空母の建設を待たれよ。


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【自省録~歴史法廷の被告として~】
この本は中曽根康弘さんの子供時代の原風景から始まり、戦時中の海軍将校時代、政治家で身を立て、政治家を引退する辺りまでの頃に遡って、当時ご自分が関わった政治案件を回想し、その時々の人々や、当時どういう思いだったかを語っている本です。2004年出版です。


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【保守の遺言】
この本は2010年に出版された本で、時は民主党政権時代なので、来たる(と思われていた)二大政党制などへの言及から始まり、保守とは?日本の立ち位置とは?などが綴られています。

上の【自省録】が虫の目視点での物言いが多いとするならば【保守の遺言】は鳥の目の視点による、より俯瞰的な立場からのご自分の政治思想が書かれてあります。また2つの本は引用している出来事や雑感の記述が一部似通っている箇所があるので、両方読めばより中曽根政治への理解が深まるのではないでしょうか。

小泉批判
まあ、やはりというか、だろうなというか、小泉政権にはとっても批判的な発言をしています(辞めさせられたからね!)。印象的なのは「小泉氏の『自民党をブッ壊す』発言はタクティクスでしかない」と言っている箇所です。国民やメディアは『自民党ブッ壊す』発言に結構な感じで乗ッかったようでしたが、戦前から世を見てきた老獪な政治家を酔わせるには至らなかったということでしょうか。そもそも最初から世代的にも政治思想的にも、非情の小泉流とは相容れないものがあったようですけどね。

【保守とは?】
「保守とは、ただ古いモノを盲目的に養護する態度ではなく、守るベき大切な価値観や視点を基礎に変化進化していく態度だ!」と喝破しておられます。換骨奪胎的な?脱構築的な?温故知新的な?そうやって明治維新も戦後もやってきたとのこと。

【ナショナル化とインターナショナル化】
キャリアから察するに中曽根さんは、戦前の海軍に属していて、国が過度に右傾化した時代の空気を吸い込みつつも、戦後は西側諸国で急速に一等国になるべく努めた人物、という言い方ができると思います。なので過剰なナショナル化で国が壊滅した姿と、急速なインターナショナル化で国が発展する姿を同時に体感した希有な経験を持っているのです。だからといって、単純な「ナショナル卑下・インターナショナル礼賛」の立場にならないのが中曽根さん。歴史伝統から学び反省しながらも、欧米にも疑問を持つ視座も忘れず現実に活かす、結局は政治・政策はナショナル・インターナショナルの濃淡や速度や距離感を間違わないことなんだなと思いました。

【ヤ×ちゃん】
ちなみに子供の頃、中曽根さんは「ヤッちゃん」と呼ばれていたそうです。将来首相になる人が「ヤッちゃん」とはねぇ、不思議な運命の綾を感じましたw

自省録

自省録

保守の遺言 (角川oneテーマ21)

保守の遺言 (角川oneテーマ21)

【了】



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手嶋龍一・佐藤優「米中衝突~危機の日米同盟と朝鮮半島~」読書感想文

どんも寅治郎トライです。

大陸間弾道読書感想文、発射ッ!
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【米中衝突~危機の日米同盟と朝鮮半島~】
この本は、外交ジャーナリストの手嶋龍一さんと、作家の佐藤優さんとの共著で、2018年06月の米朝会談とその周辺の水面下の攻防を披露&分析し、ひいては東アジアの近未来などをインテリジェンス脳全開で論じ合い、関係各国の内在的論理を掴もうとする内容です。

【危機を煽るマスコミを利用?】
2017年08月29日に北のミサイルが北海道上空を通過して、全国瞬時警報システム・Jアラートが鳴るなんてことがありました。実は私もその時、Jアラートで起こされました。Jアラートが結構な広範囲で鳴って、ミサイルが北海道上空を通過したというショッキングな側面もあったために、日本のマスコミでは当時『北朝鮮ヤバいよ!何してくるかわからないよ!』調での報道が目立ちました。そしてそのミサイル騒動を受けて安倍政権は10月に『国難突破』を旗印に解散総選挙に勝利します。この一連の流れをインテリジェンス脳で見ると、マスコミの危機を煽る癖を安倍政権が上手く利用して選挙に勝った、という側面があると言います。北海道の上空をミサイルが通過するのは確かにショッキングですが、それでも大事に至らない場合もあるのに(実際被害っぽい被害は無かった)、そこら辺の動静の情報を取らずに、視聴率か反響のためか危機を煽る報道に終始したために、権力監視のマスコミが権力側に、権力を資する材料を与えてしまった。安倍政権の一本技が決まったのです。出足払い一辺等の攻勢を読んで、燕返しをかけた感じでしょうか。

米朝首脳会談
本では2018年02月の平昌五輪開催の人の往来の最中韓国で、北の高官とアメリカの高官が接触して、北側から米朝首脳級会談を申し入れたということが明かされています。2018年06月それにトランプ氏が応じたという形のようです。トランプ政権内の戦略家達でも直接会談に反対の人がいたと言いますから、史上初の米朝首脳会談に漕ぎ着けたのはトランプ氏の持つ親分型人間性の突破力と、核兵器の引力かなと思いました。とはいっても日本的には、米朝だけの取り組みだけでなんでも勝手に大勢を決められては、不利を被る可能性もありますから、他国間交渉の方がいいのかな、なんて思いますね。

【中国の海洋進出】
本では、近年海洋進出している中国へも言及しています。元々大陸国家の中国が海洋進出しても、やり方が海洋国家的でなく、周囲との軋轢を厭わない大陸国家的な海洋進出だと、指摘されています。因みに戦前、日本は本来海洋国家なのに、大陸国家の真似をして大陸へ進出して結局は失敗しています。他意はありません、あくまで参考までに。

【了】


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手嶋龍一・佐藤優「独裁の宴~世界の歪みを読み解く~」読書感想文

どうも寅治郎トライです。

読書感想文オフィサーが珍未来を予見します。

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【独裁の宴~世界の歪みを読み解く~】
この本は佐藤優さん、手嶋龍一さんによる対談形式の共著で、過去の国際政治にあったメルクマーク的な出来事にふれつつも、主に2017年の世界で起こった事、日本で起こった事を中心に、インテリジェンス視点でドDeepに、あれやこれやを語っている本です。

核兵器の効用】
本で触れられている印象的な記述に「核兵器のおかげで、貧しい国の北朝鮮が超経済大国のアメリカと対等に渡り合っている」という箇所があります。核兵器の殺傷能力の恐ろしさを改めて感じました。強烈な暴力を持つことで経済格差など、もろともせずに超大国をテーブルにつかせる手法。実際2018年に一度、2019年にトランプ氏と金氏は2度も直接会談している事実を見ると、核兵器の「使わない兵器」たる側面をモロに活用した例かもしれない。本来、飢えている民に再分配すべき富や資金を、核開発に回しているわけですから、国家体としての足腰が弱って来て、短期的にはアメリカとやり合えても、長期的には思わぬキッカケで瓦解するなんて言うけど、90年代には米vs北の構造はあったわけですから、後ろ楯国の隠れた支援が効いているのでしょうか。

【米国は他国を守るのか?】
他の作品ででもそうですが、本作でも手嶋龍一さんは『日米同盟がいつでもどこでもどんなケースでも磐石に発動するワケではない』と過去の事例から訴えております。アメリカはこれまで、スエズ動乱で同盟国の英仏とさえ反目したこと、冷戦の最中NATOは機能するのか欧州に疑問視される態度を取っていたことなどを例に上げております。またアメリカ本土に届かないからパキスタンの核を黙認している例も上げ、アメリカの本音と建前を指摘しています。パキスタン方式でアメリカが北の核保有を妥協するのではないか?というシナリオを聞くと、冷戦が終わってもうすぐ30年も経とうとゆうのに、核兵器の脅威はすぐにはなくならない現実に愕然とします。

【武器を持つことのディレンマ】
高度な技術が発達した現代の国際社会でありながらも、理性的で穏健な平和主義の思想が世界各国に浸透している訳ではありません。『暴力など無い方がいい』『戦争など無い方がいい』と分かっているけど『平和のために戦争の準備をしなくてはならない』という、ディレンマリーな立場をとらなくてはならない冷酷な国際社会の真理が、まだまだ全世界のスタンダードであるとの指摘に心打たれつ、胸が痛みます。

【了】


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手嶋龍一・佐藤優「賢者の戦略~生き残るためのインテリジェンス~」読書感想文

どうも寅治郎トライです。

読書はインフォメーション。読書感想文はインテリジェンス。

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【賢者の戦略~生き残るためのインテリジェンス~】
こちらは外交ジャーナリストの手嶋龍一さんと、作家で元外務省主任分析官の佐藤優さんの対談本です。2013年、2014年辺りの世界情勢をインテリジェンス視点で解説&分析しています。新潮新書でのお二人の対談3部作の3作目になります。

【平和は暴力でできている?】
「平和を欲するなら戦争に備えよ」という格言があります。この格言は『敵が奮ってくる暴力に対して、こちらもそれなりか、それ以上の暴力を用意しとけば、一定の抑止力にはなるよ』という意味です。ハッキリ言って21世紀になっても、現存する平和と呼べるような状態は、上のような格言の元に成り立っていると思います。『お互い平和が大切だと分かり合ってるから、他者のことを思って、互いに武力を捨てて争わない』という態度ではありません。互いに武器を向け合って『自分が撃ったら相手に撃たれる。だから今は動けない』そんな均衡状態を作って、それを平和と呼んでいるのです。現代の国際社会の平和とはそんなモノです。しかし当たり前ですがこういう平和は完璧ではなく、未来永劫続く保証はありません。相手陣が自分らが持っている武器よりも強い武器を開発して、こちらにその銃口を向けたら、今の均衡状態は縮小させられてしまいます。なので今の均衡状態を縮小させられたくなければ、自分もより強力な武器を開発しなければなりません。こんなが国際社会の冷厳な真理ではないでしょうか。

湾岸戦争でのトラウマ】

2015年安倍政権は、安全保障関連法(安保法制)なる法案を成立させました。限定的に条件付きでですが、集団的自衛権を認めた内容になっております。それまではいかなる場合も他国との武力衝突はダメだったので、方針転換となる出来事だと思います。実はこの方針転換には伏線があったようです。それは日本が湾岸戦争に置いて130億ドルも資金提供したのに、クウェートが出した世界各国の名前を載せたお礼の広告に、日本の名前を載せて貰えなかったことです。増税までしてお金を捻出したのに、こんな嫌がらせかイヤミのような真似をされた事に、当時の外務省は傷付き、トラウマになったと本では触れられいます。それがキッカケ外務省は集団的自衛権を研究するようになり、時は流れ、安全保障に積極的な安倍晋三氏が総理になったことで、安全保障関連法成立に至ったということだそうです。『安保法制はイケイケの安倍氏がやったこと』と思われがちですが、外務省の意向でもあったということです。

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【要衝の国】
他、本で触れられているのは要衝の国のことです。要衝の国とは『大国と大国の間にあるような国のことで、大国に利用されたり、大国を利用したり、大国間の触媒になったり、はたまたその多国籍性に目を付けて別の国が介入してみたり、商売にはなるが戦火に巻き込まれ安い』そのような星を持つ国のことです。特に2014年にはクリミア併合などもあり本書では、ロシアとドイツ間の要衝の地・ウクライナがインテリジェンス視点で語られています。要衝の地の歴史・民族・周辺国、その他の要素を具に見ると、激アツインテリジェンス事に出会えるのです!

賢者の戦略 (新潮新書)

賢者の戦略 (新潮新書)

【了】


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手嶋龍一・佐藤優「知の武装~救国のインテリジェンス~」読書感想文

どうも寅治郎トライです。

政治で言うNSCは、お笑い芸人養成所ではありません。

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【知の武装~救国のインテリジェンス~】
こちらは外交ジャーナリストの手嶋龍一さんと、元外務省主任分析官で作家の佐藤優の対談形式の著作です。2012年~2013年辺りに起きた政治の出来事をインテリジェンス視点で語りつつ、各国の情報機関の特色なんかにも言及をしている内容になっております。

【現代の情報士官・スノーデン】
2013年のインテリジェンス史では、やはりエドワード・スノーデン氏の話題があります。「アメリカは他国の情報を非合法的に盗んでいる!」という暴露でスターダム?にのしあがったスノーデン氏ですが『まあ、だろうな』『やっぱな』って感じですかね。軍事力を肯定している国でしっかりとした情報機関のある国は、どんなに正義面しても程度の差はあれ、時に非合法な情報収集をしているのでしょう。怖いがこれが世界のリアルなんでしょうかねぇ。まあ小市民はハ×ンチ行為やお下劣写真の投稿を控えるくらいしかできないけど。しかし非合法をやってでも情報を得ても、間違う時は間違う、それがインテリジェンスの世界。『09・11の同時多発テロ』を見抜けなかったこと『イラク大量破壊兵器あると言ったのに無かった』ことなどが失態例としてあります。『非合法もやる』『不確かな側面がある』『それでも情報が欲しい』という国家の欲望、半端ねぇ。

【明治時代の情報士官】
また本では、スノーデン氏を話題にしつつも、日露戦争前後で活躍した明治の気骨溢れる情報士官のことが触れられております(触れ幅、広ッ!)。柴五郎氏、石光真清氏、明石元二郎氏などのエピソードが語られています。日露戦争では日本は勝利しましたが、普通に考えれば当時の大日本帝国ロシア帝国とでは、国力に大分差があったので日本は勝てるワケありませんでした。しかし!上記のような情報士官の方々がロシア帝国に潜り込み、ロシアの機密情報を巧みに入手したり、ロシアの不満分子を盛り上げたりしたお陰で、ロシア帝国に勝てたということだそうです。教科書的には、勝てたのは局地戦だったからとか、借金しまくって軍にカネかけたからとか、ロシアはいずれアメリカとの戦争を仮定していて力を温存したくて本気出さなかったとか、があげられます。情報士官の活躍は裏仕事のようなモノなので、あまり教科書には載らないでしょうから、本書は一読の価値ありかと思います。

【了】


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手嶋龍一・佐藤優「動乱のインテリジェンス」読書感想文

どうも寅治郎トライです。

玉虫色の読書感想文でぇす。

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【動乱のインテリジェンス】
この本は、作家・佐藤優さんと外交ジャーナリストの手嶋龍一さんによる対談本です。過去の事例を引きつつ、2011年~2012年に起こった出来事を中心に、インテリジェンス視点であれやこれや語っております。時は民主党政権

【棚上げに至る文章力】
外交で双方が譲れない案件があったりすると、しばし『棚上げ』で局面を凌ぐなんてことがあります。領土問題かなんかではよく有ることですよね。なんか一般国民からすると『なんであちらに譲らなきゃならんのだ』とか『スッキリしねーなー』とか思っちゃいがちですよね。しかしその一方、実は『棚上げ』こそ外交の知恵という考え方もあります。そして『棚上げ 』を実現させ得る、両国が『棚上げ』を自国に説明する際の根拠になる外交文書、その作成能力がその国の外交力の一つだと、お二人は指摘しています。『棚上げ』の外交交渉では、A国の主張、A国の議会、B国の主張、B国の議会、などそれぞれの立場を害さず、双方の面子を保ちつつ、一旦『棚上げ』と解釈できる玉虫色の内容の文章が機能するのだそうです。そんなの子供騙しのようなやり口に見えますが、厳しくも苛烈な国際社会、完全な勝利は難しく、他の重要案件もあるので戦争するよりは『棚上げ』を選んだ方が、平和的だし労力が浮く、とかなんでしょうねぇ。とは言いつつも、どんな意匠を凝らしたと言っても、文章で均衡が取れた『棚上げ』なので、いつまでもそんな状態ではなく、それで対応できない時代もいずれ来る、とも指摘されています。

【文章力の後ろ楯】
そして、民主党時代は、中国の漁船が海上保安庁の船にブチ当たったり、韓国の李明博大統領が竹島上陸したり、ロシアのメドベージェフ大統領の北方領土上陸がありました。民主党は『日米同盟から中国寄りになるかも知れない』と匂わせていたり、政権がコロコロ変わったりしていたため『日本の国内の指導力や軍事プレゼンスが低下している』と韓国・中国・ロシアが判断したのではないかと言われています。自民党時代の均衡点とは違った、民主党時代に合わせた均衡点を探していたのでしょうか。軍事力や指導力の後ろ盾あってこそ、外交文章も均衡点の根拠になるのだなぁと思いました。

【死の舞台裏のインテリジェンス攻防】
その他、本で紹介された印象的なエピソードに、中国でアルコールの過剰摂取で亡くなった英国人ビジネスマンの話があります。一見事故のようにも見えるのですが・・・キャーーーッ!時に、外交官関係者の方、大使館関係者の方の死亡事故や失踪や退職には、インテリジェンス的なグロ攻防が隠れていたりするのだと、本は教えてくれます。

動乱のインテリジェンス (新潮新書)

動乱のインテリジェンス (新潮新書)

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手嶋龍一・佐藤優「インテリジェンス・武器なき戦争」読書感想文

どうも寅治郎トライです。

本の内容を加工して読書感想文に纏めるのがインテリジェンス。

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【インテリジェンス・武器なき戦争】
この本は、外交ジャーナリストの手嶋龍一さんと、作家の佐藤優さん共作の対談本です。2006年出版です。当時は『インテリジェンス』という言葉が一般的ではなかったらしく、タイトルに編集者さんが難色を示した、と他の著作で語られていた本です(おそらく)。つまり本書は『インテリジェンス』の一般的認知の先駆けとなったもので、過去のインテリジェンス史に残る外交官やスパイの名インテリジェンス大立ち回りを引いて、インテリジェンス活動とは何なのかを易しく教えてくれます。

【インテリジェンスとは?】
私なりに整理すると『インテリジェンス活動とは、自分の国の政策に活かすために、他国の秘密情報を得ること』。ただ秘密情報は簡単には手に入らないので、普段から対象の国の要人と仲良くなったり、公開情報から他国の雰囲気や思考体系を学んだり、時には盗聴したりしなきゃならないらしい。佐藤さん手嶋さんは主に、人からの情報や公開情報から対象国の秘密情報に迫った外交官やスパイの、生き馬の目を抜くが如くの知的曲芸の鮮やかさを著作にしている印象。そしてインテリジェンス活動に携わるの人々の周辺に発生する愛憎や嫉妬や葛藤、確執などにも焦点を当てるスタンス。

『他国の秘密情報に迫る』などと言うと『なんと大仰な』と言う方も居ると思いますが、日本でも何年にか一度、外務省・防衛省で機密漏洩事件などがありますし、某国では日本人がスパイ容疑で身柄を確保されただのニュースになったりしますから、冷戦が終結しても水面下では国同士がお互い、外交官かスパイが暗躍しているじゃないかなと思われます。

【インテリジェンス・オフィサー】
『インテリジェンス・オフィサー』とは、明確な定義がされているわけではなく、表からでも、極秘裏にでも、外交官としてやっている方も、スパイとしてやっている方も、他国の情報収集&分析されている人のことを大きく括って『インテリジェンス・オフィサー』と本では呼ぶようです。

鈴木宗男像】
佐藤優さんとえば、2002年の鈴木宗男事件の渦中の人物としても有名です。あの当時、報道では宗男叩きの内容ばかり飛び交っていましたが、こちらの本では報道とは違う、本来の政治家としての鈴木宗男さんの立ち位置やスタンスなど書かれていて、興味深く読めます。佐藤さんと鈴木宗男さんとの初遭遇、いかにして鈴木宗男さんと組むようになっていったか、いかに外務省と対立していったか、などが書かれていて、報道の鈴木宗男さんしか知らない人にオススメです。鈴木宗男さんのインテリジェンス思考を垣間見えるエピソードも明記されています。

【了】


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「アンネの日記」読書感想文

どうも寅治郎トライです。

読書感想文日記つけようかしらん。


アンネの日記
こちらは第二次世界大戦中のドイツのユダヤ人迫害政策から逃れ、オランダに移り住んだユダヤ人家族・フランク家の次女、アンネ・フランクの日記が掲載されている本です。オランダでもドイツのユダヤ人迫害政策は迫ってくるので、家族は「隠れ家生活」を余儀なくされます。日記は「隠れ家生活」をスタートする所からはじまり、当時の暮らしぶりや周辺の人々、オランダの戦況、徐々に芽生える十代少女の自我などについて書かれています。日記では自分のことを13歳、14歳と言っていますから、変な言い方をすればJCの女の子の日記を無断でのぞき見する本とも言えます。また第二次世界大戦の流れや用語の基礎知識があった方が、この本の持つ文学性により感応できると思います。

【1940年代のJC
アンネの日記』といえば「戦争に巻き込まれたいたいけな少女のナントカ」とよく言われます。もちろんそういう読み方を王道に、亜流な読み方として「1940年代のJCのリアルな心理」と読むこともできると思います。なんというか、自我が芽生えたつつある時期なので結構不遜なモノの言い方で、親や周りの人々への軽口・悪口が羅列されているんです。自分を成立させてくれている周囲への配慮や謝意は薄く「あれはスカン、これはスカン。私はこうだ!」の調子で自分に陶酔したような言い方が多いように思えました。そこから察するに「1940年代のJCのアンネもそうなのだから、若者の自己中心的な自我のあり方ってのはいつの時代も同じ」と言えるのかもしれません(もちろん私自身もそうでした)。しかしまあ本一冊になるだけの量と内容の文章を書いたりしてたワケですから、今風のタピオカ・SNS・いいねで大満足のJCとは違う、思索の知性を強く持っていた方なんだろうと感嘆も覚えました。JCすらも思索せざるを得ない戦時下という厳しい時代だったという側面もあったのでしょうか。




【勝利しても】
日記のだいたいの期間は1942~1944の内容になっております。スターリングラードの攻防~ノルマンディ上陸作戦の時期で、戦況が打倒ドイツの風向きへと決定的に変わっていく期間でもあります。そんな状況下でもアンネは不幸に見舞われたということになります。未来から見れば「どこがどの時点で勝った」などと簡単にわかりますが、リアルの戦争では勝ったからとてすぐに状況が良くなるわけでも死者がゼロになるわけではないので、例え勝った側でも直ちに平和や安寧を得られるワケでは無いとうことなのでしょう。それが戦争の怖い所。「戦争、ダメ、ゼッタイ」の感を強く思うに至りました。しかし戦争の無い時代はない。人類よどうなってんだ!

【了】


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鈴木宗男・佐藤優「北方領土・特命交渉」読書感想文

どうも寅治郎トライです。

読書感想文+αで解決だ!
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北方領土・特命交渉】
この本は鈴木宗男さんと佐藤優さんの共著で、お二人が北方領土交渉に携わっていた時のあれやこれやを語っている本です。読むとけっこうエグイことが書いてあって、北方領土問題は一般素人から見ると、何十年も解決していないので膠着状態なのかな?などと思ってしまいますが、水面下ではけっこうなドタバタがあったことがわかります。

【2島引き渡し論】
北方領土交渉に関して、佐藤優さんと鈴木宗男さん勢力は、2島+αでの解決を模索していたといいます。佐藤さん鈴木さんは関わった外交交渉から「4島返還ではソ連・ロシアは絶対に乗ってこない」という感触を得ます。そしていつしか「絶対に乗ってこないことに固執して、時間と労力を浪費するよりは、妥協した先で得られる何かに知恵を使うべし」という発想になります。近年、安倍政権・プーチン政権になってから、2島引き渡し論が急速に知られるようになりましたね。安倍・プーチン間の2島引き渡し論の叩きになっているのが、佐藤さん鈴木さんの模索していた2島+αなのではないでしょうか。安倍さんと鈴木さんは頻繁に会っているという情報も聞きます。

【妥協か固執か】
領土問題じゃなくとも妥協か固執かは人生の思想的なテーマでも良くあります。「原理原則を主張するのは初志貫徹なのか思考停止なのか」「柔軟なのか硬直化なのか」「妥協は死」「妥協こそ勇気」・・・etc。領土問題は実は深い!
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ソ連&ロシアの安全保障の傾向と推測】
ソ連&ロシアは国土が広くまた寒いので、軍隊を展開させたり、移動させたりするのが大変だったりする。国土が広いと国境を接する国も多くなり、軍事事情が複雑にもなる。

○なので東で有事、西でも有事、のような同時多発的有事を警戒している。実際第二次世界大戦時には、ソ連と日本がノモンハンで交戦後に(いずれソ連にちょっかいを出すと思っていた)ドイツと不可侵条約を結んだ。恐らく日本と、ドイツを同時に相手にするのを避けるため。

○そして自国の周りを衛星国で固めておきたがる。恐らく自国内が攻められてガチの有事になる前に防人的に衛星国に戦ってもらって時間を稼ぐなり被害を最小にするため。なので近年の東欧のNATO加盟を苦々しく思っていて、その臨界点に達したため、クリミア併合をやってのけた。ウクライナは親米になってもせめて黒海制海権とあの地域の要衝となるクリミア半島を取っていたいという安全保障的な心理が働いた。

○広い国土で軍を動かす負担を減らすために、スパイ活動が冷戦時代から盛ん。平時からスパイで敵国のリアルな動向を探ったり誘導などして、軍の出動を抑えようとしているのでは?(軍出動に消極的という意味ではない。)

とまあ、あれこれ推測してきましたが、「国土が広いこと」がロシア/ソ連の安全保障観念に影響を与えているのではないだろうか?という結論。

(勝手な推測なので真実を保証するものではありまんYO!)

北方領土「特命交渉」

北方領土「特命交渉」

SAPIO(サピオ) 2016年 12 月号 [雑誌]

SAPIO(サピオ) 2016年 12 月号 [雑誌]

  • 発売日: 2016/11/04
  • メディア: 雑誌
【了】


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佐藤優「私のマルクス ロシア篇 ~甦る怪物~」読書感想文

どうも寅治郎トライです。

読書感想文力の商品化を止揚しちゃうよ。
f:id:tradgellow_try:20191217181932j:plain
【私のマルクス ロシア篇 ~甦る怪物~ 】
この本は作家の佐藤優さんが、外務省時代にソ連・ロシアで外交官をしていた時のあれこれを纏めた本です。ソ連崩壊前後のインテリ学生、インテリ学者、インテリ政府関係者などの人々との交流が描かれております。ソ連崩壊前後とい動乱時期の国家の状態や雰囲気はどんなもんだったか、動乱期のインテリ層はどんな行動を取ってどんな内情を秘めていたのか、などのエピソードが多数書かれてあります。そこからソ連&ソ連崩壊の内在的論理に迫る構造を持った本です。「私のマルクス」は青春談を強く感じる作品でしたが、「甦る怪物」では青春談味は抑えられ、より思想・分析的な内容が強く、同じマルクスモノでも作品のテイストに違いがあるように思いました。

【参照】
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【生きたカネ】
佐藤さんは良くご自分の著作で「インテリジェンス能力は国力に比例する」という内容のことをおしゃったりしています。やはり政治外交上でイイ情報&必要な情報を得るにはおカネがかかるようで、外交官は給料以外に工作費でウン十万支給されたりします。もちろん情報はどこかで販売されているワケではありませんから、工作費は人脈構築などに使われるます。佐藤さんの場合、人脈構築の一環で、工作費を原資に学生にアルバイトを与えるなどで、交流をはかっていたと本で明かされいます。一級の情報がどこにあるか嗅覚を働かせて、どう生きたカネの使い方をしてきたかなども読み所になっております。

【神学で切り開く】
そして佐藤さんの場合は神学が、外交官活動に役に立ったと振り返ります。大学時代、大学院時代に真剣に神学と格闘し学び構築していった知見が、ソ連のインテリ学者&政治関係者の目に止まり、大学で講義を持ったり、ソ連の特殊な資料図書館へのアクセスが許されたりしたといいます。そもそも神学は、関わる人の全体数が少ない学問で、就職で有利とかは特に無いらしく、それでも佐藤さんは、内なる知的問題意識と知的フェチズムから主体的に神学を選択し、真摯に向き合った結果、数年後それが武器になって、ソ連内の高度な情報に接近できるようになったわけですから、なんてドラチック!本来この本の持つ「国家・民族の分析」の主旨からズレますが、少数派の学問でも誠実に鍛練した神学で、高度なソ連情報というデカイ山に辿り着いた運命の綾感がカッコ良くて、私はこの本が好きになったのでした。

私のマルクス ロシア篇 甦る怪物

私のマルクス ロシア篇 甦る怪物

  • 作者:佐藤 優
  • 発売日: 2009/06/29
  • メディア: 単行本
【了】


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佐藤優「私のマルクス」読書感想文

どうも寅治郎トライです。

読書感想文の内在的論理、掴んじゃうよ。
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【私のマルクス
この本は、作家佐藤優さんの高校時代、大学時代、大学院時代のあれこれが自伝的に書かれている本です。当時の影響を受けた思想、哲学、神学など興味の変遷を紹介しつつ、様々な先生方との交流などが魅力的に描かれています。まあまず読んで思うのは、とんでもない早熟な脳ミソ!ということです。ご出身の埼玉の浦和高校は頭の良さで有名ですが、にしても高校生にして哲学書思想書など読んだり社会運動やったり、若くしてなかなか凄い脳ミソ持って世の中見てたなんてすげぇと思いました。それでいて「盲目的な偏差値追及型の同級生とはソリが合わなかった」と振り返ってますから、この斜めの知性、むちゃカッコいいすね。ご自分の原点と仰る東欧旅行中のエピソードも高校一年生にしては、立ち振舞いがいちいち聡明過ぎて、キュン死レベルのエピソードがいっぱいです。

【先生】
佐藤さんの早熟っぷりも素晴らしいですが、佐藤さんが関わった先生方との交流もまた、麗しゅう読み所となっております。そもそも学校や先生ってのは知的な存在であるわけですから、学生自身が知性を磨いてぶつかっていけば、学校や先生から一歩踏み込んだ宝物のような視点や知恵を授けて貰えるんだなぁ、と今更ながら思いました。それはある意味での「共鳴」で、師弟の「共鳴」こそ学舎(まなびや)の意義で、真の姿なんですねぇ。学生自ら鳴らなければ、先生だって鳴らない。"大"学などと言ってはいるが名ばかりで、私個人の学生時代を思い返せば、上意下達の表層の知識伝達ばかりで、佐藤さんに比べたら、知的にとんでもなくしょっぱいダサ学生だったんだなと、反省しきりです。

【神学部】
また大学時代・大学院時代の佐藤優さんは、神学という一般人から見ると、多分に形而上学的に見える学問に取り組んでこられて、その様子が本に記されています。「××部ならば就職に有利だ」「潰しが効く」だ、などの思想は取らず、内なる知的フェチズムと知的問題意識に従って神学にはげむ姿や、暴力の伴う学生運動の荒い現場もくぐり抜けた気概、胆力などの描写は、この本の白眉たる箇所だと思います。そりゃこんだけ知に誠実ならゴルバチョフ生きてるの見抜くわ!と納得しました。

【わんばんこ?】
ニッポン放送「ザ・フォーカス」2019年12月12日の放送で、番宣に来た笑福亭鶴光氏とのやりとりで、佐藤さんが学生時代「笑福亭鶴光オールナイトニッポン」を聞いていたというトークをされていました。学生時代から難しい本を読んでいて、オールナイトニッポンのようなポップカルチャーはお好きでは無いんだろうなぁ、と勝手に想像していました所、なんとまさかの佐藤さんの口から「わんばんこ!」発言も飛び出し、ラジオ好きの私には歓喜の放送になりました。

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私のマルクス (文春文庫)

私のマルクス (文春文庫)

  • 作者:佐藤 優
  • 発売日: 2010/11/10
  • メディア: 文庫
【了】



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森喜朗「日本政治のウラのウラ」読書感想文

どうも寅治郎トライです。

今日も読書感想文、密室で5人で書いちゃうよ!
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【日本政治のウラのウラ】
この本は元総理大臣の森喜朗氏が、ジャーナリストの田原総一朗氏を聞き手に、語り下ろしのような感じで、森氏が現役であった頃に起こった政治の出来事を回顧している本です。まあまあな暴露話も出てきます。

○「中×根さんは最後はカネで動く」

○「人格者みたいに言われてる×平さんのイジワルは有名」

○「角さんは困ったらワアハイハィヒャヒャヒャヒャと言う」

○「福田さんはホーホーホーホーと言う」など。

読んで感じたのは、森氏は、

「オレが!オレが!」のを政治家ではなく、

「カネで!カネで!」の政治家でもなく、

「メディア!メディア!」の政治家でもなく、

「人間関係!根回し!」の政治家なんだなぁということ。

「人間関係や根回し」を政治力に変えて政界の海を泳いできた人のようです。因みに森氏の「人間関係や根回し」は自民党内だけでなく、社会党共産党の人々にも及びます。政敵でも日頃から何かしらのコミュニケーションを取ることがあったようです。森氏の回顧によると「人間関係や根回し」で一国の議会を動かすことができたということですから人間関係や根回しはちゃんとやれば力になる、馬鹿にしてはいけないんだなぁと思いました。「人間関係」が機能すれば、是非は別ですが、危機的状況の時、自社さ政権のようなウルトラDな選択肢も増えるワケですからね。

また、この手の「人間関係」「根回し」「コミュニケーション」的な手法を巡っては、森氏と森氏よりも下の世代では感覚が違うようで、最近の若い世代は「人間関係や根回し」に時間を割かないことにチクリと思う所があるようです。

まあ「若い時期に何かが上手くいったり、何かが手に入ったりすると、全て実力で手に入れたかのような錯覚を覚えガチだし、競争を自前で養った能力だけで勝ったような気になるもので、実はその能力を機能させるのに、己の能力とは別物の先人が作った人間関係か、縁ある人との人間関係を利用した側面があることを忘れてはならない」ってことなんでしょうけど、政界にもこの手の問題があるんすねぇ。

また興味深い回顧に、森氏が総理になる以前は、経世会が概ね自民党を仕切っていたため、新聞マスコミの中枢には親経世会の記者やTVマンが多くいたそうです。その中で突発的に清和会から森総理が出たもんだから、当時の新聞マスコミ関係には、森氏の手法などではなく森氏自身を気に食わなく思う雰囲気があったと言います。故に森氏へのボロカスな攻撃につながったそうです。そんなマスコミ報道で作られた森喜朗像とはちょっと違う森氏が、この本では炸裂しているので一読の価値有りと存じます。

いつか音声化した「ワアハイハィヒャヒャヒャヒャ」を聞いてみたいです。

日本政治のウラのウラ 証言・政界50年

日本政治のウラのウラ 証言・政界50年

【了】



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「私の後藤田正晴」読書感想文

どうも寅治郎トライです。

今日もカミソリ読書感想文、官房長官しちゃうぞ!

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【私の後藤田正晴
後藤田正晴氏は警察官僚出身。中曽根政権の官房長官、宮沢内閣での副総理などを務めた、自民党の重鎮であったお方です。特に官房長官時代の判断には定評があり、今でも歴代名官房長官には後藤田氏の名前があがり「カミソリ後藤田」などと呼ばれたりしています。この本は亡くなられた後藤田氏の功績と人柄を、生前ゆかりのあった人々が称え、礼賛、誉めちぎるという内容のものです。ご本人ではなく、複数の第三者からの証言で、後藤田氏の政治思想、人柄を浮き彫りにしていきます。

本を読んでやはり、戦争体験のあるなし、現地体験のあるなしの違いが、政治家の武力行使観や安全保障観を作っていくんだろうなぁ、ということを改めて思いました。また戦争体験者には、論理的で精工な理論で武力行使を正当化する・しないの観点がありながらも、それとは別のフィルターを持っていることが多く、戦争体験者である後藤田氏も武力行使について、論理以外のフィルターを持っていたようです。フィルターとは、ご自分の戦争体験で悟った戦争の愚かさ、醜さ、不条理さを憎み嫌悪する気持ちで、合理や論理を超えた"感覚"のようなものです。後藤田氏が現役中、自衛隊や外交関係で戦争の遠因に成りうる路線の政策には、それなりに目を光らせていたようで、その都度戦争嫌悪のフィルターを発動させていたようです。

その戦争嫌悪の感覚を元に、時の首相である中曽根氏が進めようとしたペルシャ湾への自衛隊派遣をも阻止に成功します。時の首相の肝煎り案件を阻止しても、その後首相と険悪になるわけでもない絶妙な立ち回りは見事で、政策と、官僚的実務能力と、人間味などをごちゃ混ぜにして昇華させたような芸当こそ、政治家に求められる資質で、後藤田氏にはそのような才覚があったんだろうと、本では多くの人が語っておられます。

そして現代。後藤田氏のような戦争嫌悪の感覚を持っている政治家は少なくなっているのかもしれません。戦後生まれの政治家は「戦争の悲惨さは学んだ」と口では言うでしょうが「リアルな戦争嫌悪を皮膚感覚で持っている」とは別なんだろうなぁと思います。もちろん戦争体験のない政治家が増えるのは当たり前ではありますし、また国家の生存上、空想的に「戦争は絶対にダメ」では苦しい瞬間もあるでしょう。そんな時代に、戦後生まれの人間は今更ながら、戦争嫌悪をどこまで機能させられのかがテーマにもなるのでしょう。思想の面だけじゃなくて実務的にも。

私の後藤田正晴

私の後藤田正晴

【了】


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「野中広務 差別と権力」読書感想文

どうも寅治郎トライです。

今日も読書感想文界の狙撃手です。

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野中広務 差別と権力
前半は野中広務氏の「差別」体験、後半は国会議員になってから野中氏はどう「権力」を使って政治をしてきたか、が書かれてあります。また中盤は、野中氏の視点も含まれますが、1993年の政変、その後の自自公政権辺りまでのルポルタージュとして成立していて、読みごたえがあり、あの動乱期の細かな動きが読めて、知的な刺激を満たしてくれます。

世の中には「強くて優しい××」という言葉があります。私自身、人としてそうい美学を実践していきたいなぁとして思うのですが、中々現実的にそういうできるものではありません。本の中では「強くて優しい××」を地で行く野中氏の姿がとても魅力的に描写されています。恫喝、策略、裏取引、を駆使して権力という「強さ」を得て、地元民~国民に「優しさ」を与えます。(「優しさ」って比喩ですよ。)一見「強さ」と「優しさ」は対照的な概念にも思えるのですが、実は「優しさは強さから生まれる」んだなあぁと思いました。そういう「優しさ」もあるんですねぇ。

県政時代に、保守→革新→保守と立場を変節したり、参議院選挙で負けた途端それまで嫌っていた小沢勢力に接近するなど、時に野中氏の行動に「政治的理念がない」と本は指摘しております。しかしイデオロギッシュな内容だけを政治理念と限定せず、

「地元民~国民に優しさを届けること」

「戦争を2度と起こさせないこと」

を政治理念としているのではないか?という補助線を引いて見ると、己の政治理念を脇に置いてでも、まず自分自身が権力という「強さ」を得るという選択肢を選んだのではないかと思えてきます。「差別」と「戦争体験」を経た政治家は、イデオロギーにロマンチックを感じないのかもしれません。そしてイデオロギーとは一部、豊かな世代の遊び道具に変質してしまう時があり、イデオロギーに純粋に成りすぎない方が政治的にリアルで居られる側面があるのかも。

また人が「困難」に直面した場合、思想などのような内側に精巧な世界観を作り上げることで突破するのか、現実にコミットして「困難」から自力で這い上がることで突破するのか、そんな論争があろうかと思いますが、野中氏の勇ましく「強さ」を獲得し行使する姿は圧巻で、後者の方の心により響き励ましてくれる、そんな「勇気の書」という読みができるのも、本書の白眉たる部分かと存じます。

野中広務 差別と権力 (講談社文庫)

野中広務 差別と権力 (講談社文庫)

  • 作者:魚住 昭
  • 発売日: 2006/05/16
  • メディア: 文庫

【了】


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