どうも寅治郎トライです。
読書感想文力の商品化を止揚しちゃうよ。
【私のマルクス ロシア篇 ~甦る怪物~ 】
この本は作家の佐藤優さんが、外務省時代にソ連・ロシアで外交官をしていた時のあれこれを纏めた本です。ソ連崩壊前後のインテリ学生、インテリ学者、インテリ政府関係者などの人々との交流が描かれております。ソ連崩壊前後とい動乱時期の国家の状態や雰囲気はどんなもんだったか、動乱期のインテリ層はどんな行動を取ってどんな内情を秘めていたのか、などのエピソードが多数書かれてあります。そこからソ連&ソ連崩壊の内在的論理に迫る構造を持った本です。「私のマルクス」は青春談を強く感じる作品でしたが、「甦る怪物」では青春談味は抑えられ、より思想・分析的な内容が強く、同じマルクスモノでも作品のテイストに違いがあるように思いました。
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【生きたカネ】
佐藤さんは良くご自分の著作で「インテリジェンス能力は国力に比例する」という内容のことをおしゃったりしています。やはり政治外交上でイイ情報&必要な情報を得るにはおカネがかかるようで、外交官は給料以外に工作費でウン十万支給されたりします。もちろん情報はどこかで販売されているワケではありませんから、工作費は人脈構築などに使われるます。佐藤さんの場合、人脈構築の一環で、工作費を原資に学生にアルバイトを与えるなどで、交流をはかっていたと本で明かされいます。一級の情報がどこにあるか嗅覚を働かせて、どう生きたカネの使い方をしてきたかなども読み所になっております。
【神学で切り開く】
そして佐藤さんの場合は神学が、外交官活動に役に立ったと振り返ります。大学時代、大学院時代に真剣に神学と格闘し学び構築していった知見が、ソ連のインテリ学者&政治関係者の目に止まり、大学で講義を持ったり、ソ連の特殊な資料図書館へのアクセスが許されたりしたといいます。そもそも神学は、関わる人の全体数が少ない学問で、就職で有利とかは特に無いらしく、それでも佐藤さんは、内なる知的問題意識と知的フェチズムから主体的に神学を選択し、真摯に向き合った結果、数年後それが武器になって、ソ連内の高度な情報に接近できるようになったわけですから、なんてドラチック!本来この本の持つ「国家・民族の分析」の主旨からズレますが、少数派の学問でも誠実に鍛練した神学で、高度なソ連情報というデカイ山に辿り着いた運命の綾感がカッコ良くて、私はこの本が好きになったのでした。
- 作者:佐藤 優
- 発売日: 2009/06/29
- メディア: 単行本
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