寅治郎トライのラジオブログ

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トルストイ「光あるうち光の中を歩め」読書感想文

どうも寅治郎トライです。

複数の神社と複数の寺に行く尻軽参拝者です。
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【光あるうち光の中を歩め】
こちらはロシアの文豪トルストイによる作品です。大傑作の誉れ高いとかではく、トルストイの中でも傍流的な作品だそうです。内容を大雑把に言うと、晩年のトルストイキリスト教への思いや信仰心を強く反映させた小説になっております。物語のキーになる登場人物が都合よく現れては、説明的にキリスト教チックな思想を長セリフで炸裂させる感じです。小説の体を取ってはいますが宗教的な寓話や小話に近く、思想色が強いのが読後の印象。私は特にキリスト教信者とかではないですしトルストイ好きでもないですが、タイトルがカッコいいなと思って読んでみたのでした。
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【世俗か宗教か】
この小説では『世俗的な価値観 』と『宗教的な価値観』とが対立的に描かれています。

  • 『世俗的価値観』とはカネ、地位、権力、飲む、打つ、買う、鯨飲馬食、酒池肉林などの価値観を意味し、
  • 『宗教的価値観』とは世俗的価値観を離れ質素な生活をしつつ、神に習い優しく人生や人類を内省するような態度。

作中『世俗的な価値観』を擁する主人公と『宗教的な価値観』を擁する主人公の友達がお互いを批判し罵り合います。世俗と宗教はなかなかにわかりあえない。現代的に言うならば、宗教色の強い国家と欧米風の自由主義が摩擦を起こすみたいな感覚でしょうか。
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【世俗も宗教も】
世の中を眺めますと、若い人々は享楽に明け暮れ、年を重ねた人は急に信心深くなったり農業に目覚めたりする傾向があるようです。その辺から鑑みるに、結局人間は世俗も宗教も価値観として両方持っていてもいいんだと思うのです。両方ある!ってことを認めたらいいと思うのです。人は時に横島で助平なものに心引かれるし、神や仏にすがる時だってある。そういう、ある意味での2兎を追うような尻軽性が現代のテーマでもある多様性に繋がるのではないでしょうか?もちろん尻軽にもマナーや礼節を忘れずにってことですけどね。尻軽こそ多様性ッ!



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【宗教の価値とは】
作品では結局『世俗的価値観』を持っていた主人公が宗教面に寝返るというラストなんで、宗教の意義を考えたフリをしてみます。私が思うに、生きてりゃ誰だってとんでもないファ●クな不条理で辛い思いしたりしますよね。資本主義がどんどん高度化し複雑化しても合理で何でも割り切れる問題ばかりじゃないんです、世の中って奴ぁ。そういう時こそ、人は宗教に触れて心の在り方を固めるべきなのです。宗教的言説は必ずしも論理的ではないのですが、何かを耐えなくてはいけない時、何かを乗り越えなくてはいけない時、イミフな非論理に打ちのめされた時『合理ではない思想で構える』そんな価値観を宗教は提示してるんだと思うのです。もちろん宗教だけではなく哲学や文学なども同等の価値を含みます。ただ、弱った人間に付け込む卑しいビジネス宗教もあるみたいですからそこは気をつけながらですけどね。

【了】



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