寅治郎トライのラジオブログ

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「二分間の冒険」岡田淳 読書感想文ver.1

どうも寅治郎トライです。

竜治郎トライではありません。
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【二分間の冒険】
こちらは作家・翻訳家・教師の岡田淳さんの作品です。私が小学生の頃読んで『結構好きなだぁ』という感覚を持ったのを覚えていて、最近また読んでみようと思いウン十年ぶり手に取りました。当時の小学校の同級生界隈で人気があった作品だったと記憶があり、多分に児童向けなのかなぁとも思っていたのですが改めて読み返してみると、ただの子供の冒険心をくすぐるに留まらない、大人にも響く箇所が多数あると再認識するに至りました。話は飛びますが近年のライトノベルなどでは『異世界モノ』が隆盛だそうです。『二分間の冒険』も亜空間が物語の設定。初版が1985年だそうですから実はこの時代から『異世界』という想像力はあったんですねぇ。
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【上下関係に潜む危うさ】
本編では子供たちを指導する立場に老人達が設定されています。が後に老人達は自分らの安寧のために子供達を竜の生贄になるよう誘導していた、ということが発覚します。立場の上の者は下位の者に客観的で適切な指導をするのは実社会でも許されいますが、実はその構造は、立場の上の者が自身の私利私欲のために下位の者を操作出来るという危険性を孕んでいると言えます。
 また亜空間の絶対者の竜は知恵の勝負が好きと言いつつ、知恵の解釈が乱暴で、あまり知恵的なやりとりではないやり方で子供から勝利しその若さをむしり取ります。そこに疑問を持っても絶対者である竜は屁のカッパで子供達にはどうすることもできない。こちらもまた現代社会に当て嵌めると、立場の上のものは自分のやり安いようにゲームメイクし安く、多少のズルやイカサマを不問にできる構造と合致します。私自身、世の中全ての上下関係を否定する立場ではありませんが、麗しく望ましい上下関係に巡り合うの運ゲーだなと思ったりしています。



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【悪しき上下関係に一撃】
んじゃどうしたらよいかと考えますと、作品に倣えば子供達は主体性に目覚め、皆で協力し合い、竜を上回る知恵を編み出して竜の支配を破壊するに至ります。悪しき上下関係や不条理に対抗するには結局それしか無いんだと、一応大人の私の見地では、そのような解釈するに至りました。世の中を生きる上で何かしらの上下関係は避けることはできません。為政者と国民、上司と部下、先生と生徒、先輩と後輩、親と子、上下関係が歪んで作用したために起きた悲劇に思いを馳せつつ、上下関係が健全に働くよう社会全体での仕組み作りや、前習えでは無い知見が常に必要なんだと思いました。
 子供の頃はカッコいい冒険談としか読めませんでしたが、大人になると児童書であろうと、いくらか違った読み方ができるようになるもんですね。それこそが一番の発見でした。

【了】



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