どうも寅治郎トライです。
寒がりなサイバーパンクスです。
【アンドロイドは電気羊の夢を見るか?】
こちらはSF作家のフィリップ・キンドレッド・ディックの1968年の小説になります。ざっくり言うと『未来?世界での火星でアンドロイドがプログラム外の行動を起こし人殺をやってそれから逃れるために地球にやって来た、のを地球の人間の賞金稼ぎ刑事が追いかける』そんな物語。アンドロイドを追ううちに、刑事が元々持っていたアンドロイドへの思いが右往左往する、その辺の心理描写が読み所、といった感じの小説です。
【予見の書】
過去に書かれた小説が現代を起こっていることを予見していた、なんてことがあると結構話題になるものですが、私はこの小説はそういう要素をふんだんに持つ作品なのではないかと思います。
- 小説中よく出てくる『映話』は現在で言う『ズーム』か『ビデオ電話』になろうかと思います。
- 小説ではアンドロイドが火星で人間の世話役として機能していたりするのは、まさに現代のシリやアレクサのAI技術の発展形だったりするし、
- 電気羊はソニーのアイボ?に置き換え?
- 第三次世界大戦で核兵器が使用された、という設定も現在似たような危惧がされてりしています(ウクライナ危機2022)。
と、このように1968年の作家の想像力で書かれた内容に、現代が追いつこうとしている様にさえ見えてしまう。ある意味この小説は未来を言い当てた予見の書なのではないかと思うのです。
【作品の影響力】
更に言わずもがなでしょうが、この小説は映画『ブレードランナー』の原作としても有名な作品です。そして『ブレードランナー』はサイバーパンクの映像化の始祖みたいな作品です。つまり現在のサイバーパンク的な価値観や美意識はまさにこの小説から始まったということになります。なのでサブカルチャー史的にも重要な位置にある作品だと思われます。
また、かつてサブカルチャー界隈では、この小説のタイトルの語感からインスピレーションを得て『●●は○○の夢を見るか?』みたいな物言いが流行ったと言います。流行ったということは、文学的に人の心を打ったフレーズ、文学的に成功したフレーズと言ってよいかと思います。
【総括】
ザッと見ても『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』は現実の未来を先取りしたような描写や設定が多く、そしてその影響力は小説の域を越えた所にまで及びます。つまり、色んな意味でのファーストペンギン性が散見される作品です。SFだからと言って軽く思うことなかれ、重々しい純文学や哲学書だけが人間のナンチャラに迫れるワケじゃない、SFだからこそ人間の未来や本質に迫ることができる、それを教えてくれる作品なのです。
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