寅治郎トライのラジオブログ

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「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」読書感想文 vol.3

どうも寅治郎トライです。

レイチェル・K・ソンの次作は『電気羊たちの沈黙の春』です。

アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
こちらはSF作家のフィリップ・K・ディックの1968年の小説になります。周知の事とは思いますが『ブレードランナー』の原作としても名を馳せている作品です。また『ブレードランナー』は現代のサイバーパンク観を作り上げた元祖みたいな作品です。つまり現在のサイバーパンク的な価値観やアートビジュアルはまさにこの小説が起源ということになります。なので近年の映画史やポップカルチャー史などに強い影響を与えたメルクマール的な作品なんではないかと私は思っています。

【作風】
あまたあるSF小説などでは『人間自らが作り出した科学技術に皮肉にも人間が翻弄される』なんて作品が多いですが、この小説はもちろんそういう線はありつつも、アンドロイドと人間の境が薄くなった世界での人間心理やアンドロイド心理が描写されます。そういう色合いの強い小説かと思います。
 またSF作品にしてハードボイルド的でドンパチものという解釈もできるこの小説は、説明説明したモノいいは控え目な筆致の作品です。なのでいくつか、解釈が難しい点があったりします。その中の一つレイチェルの挙動を独自解釈してみます。




【レイチェルが山羊を殺した理由】
何故レイチェルは主人公リックの飼っていた山羊を殺したのか?本編ではレイチェルは主人公リックとセ●クスするとこで、アンドロイドに感情移入させてリックにアンドロイド殺しをできないよう心理的圧力をかけます。しかしその圧力を跳ね除け、リックはアンドロイド殺しを敢行。レイチェルにして見れば自分が仕掛けた工作が失敗に終わったということになります。そんな背景から鑑みるにレイチェルがリックの山羊を殺したのは、恐らく

  • 工作が上手く行かなかったその腹いせか、
  • はたまた山羊殺害の直後のレイチェルはリックの嫁に見られても堂々としていた、ということなのでローゼン協会としての警告か示威行為か意趣返しなのかもしれない。
  • あるいはリックへloveの匂いも漂わせていた感じもありましたので、セ●クスしても男をコントロールできなかった女としての不満とかなんではないかと思います。
  • それかリックから直近の愛を貰ったという嫁へのマウント取り。「人間の嫁にアンドロイドの私が勝ったぞ!」的な。リックの愛した生物である山羊を殺すことで「リックに生物は要らない!私というアンドロイドを愛していからな!」みたいな内容を示唆したとか。

 アンドロイドと人間の境界の薄さが設定の物語なので、アンドロイドの人間的な苛立ちや承認欲求を描写したということなんではないでしょうか?個人的には痴情のもつれ説一択ですけどね。

【了】



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