寅治郎トライのラジオブログ

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柔道|組手で勝つ試合とは?

どうも寅治郎トライです。

組手よく剛を制す。

【組手で勝てとは?】
柔道をやっているとコーチ・先生・師匠の方々から「組手勝負に負けるな!」とドやされたことがある人も多いのではないでしょうか。柔道の勝敗はもちろん表面的には技で決まるのですが、技の前に組手があるので見方によっては『技で勝敗が付いたのではなく、組手で勝敗が付いた』という解釈ができたりします。そこでこのページでは『組手がより光って勝敗が決着した』と個人的に思う試合を上げて分析していきたいと思います。取り上げるのは令和2年全日本選手権3回戦羽賀龍之介vs影浦心。

【羽賀vs影浦】
先に言うとこれは羽賀選手の組手が影浦選手の攻撃を抑止し羽賀が指導3で勝った試合。羽賀を中止に見ていきます。羽賀選手左・
影浦選手左の相四つ。羽賀選手の組手に注目。羽賀選手は元々内股が得意なので、恐らくだいたいの試合は内股を中心に攻めたいと思っているハズ。そして本来、内股ならば引手として相手の袖か肘を持ちたがる所を羽賀選手は終始、引手として相手の肩と脇の間辺りを持っています。
 これはズバリ、影浦選手の釣り手封じ。相手釣り手の動きを封じることで影浦の得意な両手背負いを封じているのだと思うのです。実際影浦選手は、背負いが打てない局面が多くあったようでした。そして組手が不十分で背負いが打てないとみるや、消極的に見られるのを回避するためか、恐らく本来得意ではない巻き込み系の技を出したりします。羽賀選手の組手によって影浦選手は得意の背負いが打てず、本意ではない技を打たざる得ない状況に追い込まれた、ように見えます。追い込まれて打った技はなかなか効果的な攻めにはなっていません。




【柔軟に】
そして羽賀選手は時に釣り手封じの組手を止めて、本来の内股を打つための組手に切り替えて内股を打ち、指導をもぎ取ることに成功しています。もちろん本人に聞かないとわかりませんが、この手の指導取りはこれはこれで戦略だったのではないかなと思っています。『得意の内股で背中を付けさせれる』というよりも指導取りとして内股を使ったような印象を受けます。当時のルールでは指導3で反則負けなので、故意に反則決着に誘導できなくもないルール。羽賀選手は本来100㌔級の選手で、全日本選手権で相手にするのは100㌔超級の人ばかり。なので投げるのは大変。しかも影浦選手はその年王者リネールを倒したことで名を馳せた実力者。つまり頭を柔軟にして、得意技の内股で投げるのではなく、得意技で指導を取っていくという戦略だったのではないでしょうか。もちろん内股を出しにくい釣り手封じの組手をしていた時も、内股以外でもちゃんと攻めるのは前提。

【シン・柔よく剛を制す】
指導を取るという戦略も、序盤からただのガチャ攻めでは体力が持たないしリズムも読まれる、疲れたら押し返されたりします。なので相手の技を封じる組手を上手く併用して、時間を存分に使って試合展開を作っていきながら指導を取る。まさにベテランらしい戦略。私はこれこそ『組手で勝ったからこその勝利』だと思っています。よく『柔軟よく剛を制す』というと、小さい方がデカい相手の勢いを利用して投げるとばかり解釈されますが、100㌔級の羽賀選手が100㌔超級の影浦選手に勝ったワケですから、組手で勝つのもこれはこれである意味での『柔よく剛を制す』でいいんじゃない?と思うのです。
【了】



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