寅治郎トライのラジオブログ

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「老人と海」 読書感想文 vol.3

どうも寅治郎トライです。

ヘミングウェイとイングウェイ、ウェーイ飲み会に参加。

老人と海
こちらはヘミングウェイの小説になります。この作品でノーベル文学賞を取りました。テーマも『自然と人間』『老いる人間』など世の中的にも普遍的なものを含んでいます。また、こねくった内省を抑えめにしたハードボイルド文体なので割とサラサラ読めるんではないかと思いました。以下感想です。

【老人と少年】
作品内でのマノーリン少年と老人サンチャゴの関係は微笑ましく美しい。かつての農村型共同体、漁村型共同体では共同体全体で子供を育てるみたいな感覚があったといいます。そういう社会や共同体では、自分の血縁関係の無い老人とでも、子供や若者はそれなりに接点があったようですが核家族化が進んだ現在では、マノーリン少年のように若年層と気の合う老人とが巡り合って打ち解けるのは中々難しいと思われます。マノーリン少年と老人サンチャゴのような関係は昨今、成立し辛いんだと思います。そしてかつての共同体であっても、少年は大人になれば仕事に勤しみ老人とは一緒にはいないでしょうし、老人は時間が経てば体調の問題もあり少年とは一緒にいない。つまり二人の間柄は、ありし時代、人生のある期間にしか成立し得ない、儚い人間関係だと思います。




【若者の役目】
作品に習って老人と若者の関係を考えてみます。個人的に象徴的に思えたのは、物語の最終盤、少年が老人と漁に出たいと申し出るも、直近の漁が上手くいかなかったこともあり、老人は自分のことを運がなくなったと言って渋る場面。漁の誘いにいい返事をしない老人に少年は「運は僕がもっていくよ」と言い放つ場面。
 若いとはある意味での運のよさではないだろうか?と私は思います。特段努力して勝ち得たワケでもないのに気力や体力が充実している状態を得られているのは生物として運がいい状態ではなかろうか。そして言うても努力レスの運なのだから、運の良さをちょっとだけ老人に使って上げるべき。そうすれば老人の生き安さの一助になるんじゃないのか。かと言って老人は運を貰ってばかりかと言えばそうではない、老人は元々若者に富と時間と愛情を与えていたわけですからねぇ、ギブ&テイクの根拠は成立はしていますしね。しかし近年の若者は自分!自分!で老人と共に過ごすのを疎んじる傾向にある。

【老人の役割】
またまた最終盤、物語は老人が少年にハードだった漁の話をすること約束する場面があります。ここにも人生の真理が象徴的に示唆されているように思われます。当たり前ですが、老人や壮年以上の人は、自分の体験や知恵を若い世代に伝えることが、社会的な使命みたいなモノなんだろうと思いました。がしかし現代社会の若者が中々老人の言葉に耳を貸すかと言ったらそうではない。ここでも若者の自分!自分!が発動することが多い。

【総括】
とまあ、若者の役割、老人の役割、など当たり前のことに気付かされる小説ではあるけれど、中々上手くいかないのが現代社会。老壮青が上手く機能し合ってこそ豊かな社会と考えれば、どちらが歩みよるか、譲るかしないと、貴重な知恵がただただ失われてしまう。かつての漁村型共同体や農村型共同体の皆で協力型社会は老壮青の分離を防ぎ、知恵の継承と保持としての機能があったんだなぁ、と思うのでした。

【了】



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