寅治郎トライのラジオブログ

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「老人と海」 読書感想文 vol.2

どうも寅治郎トライです。

カジキ“マグロ”なんて魚は存在しません。

老人と海
こちらはアーネスト・ヘミングウェイの小説になります。ヘミングウェイと言えば、ノーベル文学賞受賞、ハードボイルド、ロストジェネレーション、など文学上の派手に見えるなムーブメントの中心にいた人物、そのような方です。著作には『日はまた昇る』『武器よさらば』『誰がために鐘は鳴る』などありますが、これらのタイトルは響きがいいためか、文言を変えてパロディとして手を変え品を変え、現代でもどこかで聞いたことがあると思います。そういう意味では普遍的文学的言語感覚に到達した作家の一人なのかもしれません
 『老人と海』はノーベル文学賞を受賞しました。この小説のテーマはよく『自然と対峙する人間の姿』だとか『老人の生き様』だとか言われますが、実は私はそれ以外に、構成全体を比喩として人生を描いたのではないだろうか?思ったしています。

【若年時代・老年時代】
この小説の物語前半は主人公がカジキという大きな獲物を捉えるのを軸として描かれています。つまりこれは人間の若い時代の比喩なんではないだろうかと思うのです。ちょっとくらいヘマが続いてもそれなりには元気もあるし無理が効く、痛みにも耐えられる。大物のカジキを釣り上げて一発逆転もできるかも?そんな人間の胆力や体力に繋がる描写や、射幸心にも繋がる心理描写が続きます。武器もあって持久戦で何とかカジキ仕留めるのが前半のハイライト。




しかし後半は、サメの襲撃を受けてしまいます。世の中には『年取ると何もいいことがない』だとか『人生が暗転した』なんて言い方があるように、後半は劣勢に回る主人公が目立ちます。サメの襲撃で武器を失い、どたんばの知恵を働かせて苦し紛れで対応する場面が多くなります。しかも前半に取った獲物を少しずつ奪われる。そして獲物を取るかいがあったのかなどと、根源的な自問をし始めたりもします。これらの内容は人間社会の現実ともリンクしているように思えます。若い時代に頑張って手に入れた物が、当時はそれに心酔していたりもするのですが、時が経つとその輝きがあせて見えたり、本当に価値があったのかなどと思えたりするもんですよね。ということで後半は人生の夕暮れを描いている様子。更に最終盤には、せっかくと取ってきたカジキの骨も無意味なクズになるのを示唆するかのような描写などあり、正に人生の無常を表現しているかのよう。

【総括】
つまり前半と後半で、人生の登り坂と下り坂を表現している。主人公が前半部から老人が設定なのは、生物はみな老いる宿命にあるので、今若い人間も潜在的老人であるため、老人設定でも変じゃない(かも)。そんな構成の比喩が『老人と海』には潜んでいるんではないでしょうか?

【了】



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