寅治郎トライのラジオブログ

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柔道「柔の道〜斉藤仁さんのこと〜」読書感想文

どうも寅治郎トライです。

健康を意識して股割にチャレンジしたら、膝をヤって不健康になりました。
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【柔の道〜斉藤仁さんのこと〜】
こちらは生前、柔道家斉藤仁さんと近かった方々が斉藤仁さんを追悼しつつ、斉藤仁さんのエピソードを語ることで、斉藤仁さんとはどのような柔道家だったのかに迫る本です。もちろん斉藤仁さん自身のことは語られつつも、それらの多くは結局柔道界を語ることにもなるので、本を読めばこれまでの柔道界が抱えてきた葛藤、更にこれからの柔道界の課題などにも触れることのできる、そんな構成になっております。

〇ケガを抱えた時どういう柔道をするのか問題。
〇強いと試合で勝つことは別だ問題。
〇柔道はJUDOとどう向き合うのか問題。
〇集団全体を底上げするにはどう指導するか問題。
〇一瞬で決っする酷薄な勝負に望む心の作り方問題。

などなど柔道界には古くて新しい問いが複数あったりします。明確な答えを示してくれるわけではありませんが、読者各々が答えに辿り着くため、ヒントになる思考や知見を得られる本だと思います。
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【鬼ッ!】
この本を読むと、ゆかりの人々が柔道家斉藤仁さんを表現するのに『鬼』という言葉をよく使っているのに気付きます。ライバルである山下康裕氏からは『鬼のようなもの凄い形相』、愛弟子である鈴木桂治氏からは『鬼以外の何者でもなかった』、息子さんからは『鬼の矛先』・・・。柔道に対する姿勢や練習量の厳しさを『鬼』と例えられています。


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斉藤仁さんと言えば、五輪金メダリストにして世界選手権覇者で全日本選手権覇者なので、柔道界だけでなく一般層にも名を轟かせた当時のスーパースター型のアスリートとの認識がありますが、当たり前ですが華々しい経歴の裏には、ケガに泣かされ、ライバルの山下康裕氏の壁に阻まれで、崖っぷちに近い日々を送っていたことも本には書かれております。勝手に分析するに、辛い時期を乗り切ったのも『鬼』の思想があったからこそ。昨今はスポーツ界でも『熱い情熱』よりも『クールな超合理』が流行っていると聞きます。果たしてどちらがいいのかはわかりませんが、人間の限界のネクストドアを開くのは『熱い情熱』や『鬼』の思想だと個人的には思います。壁や限界に直面した時の70年代、80年代のトップアスリートの心の動き、その記録としても貴重な描写が多く、今との感覚の違いを読めたりします。
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【自他共栄】
自論ですが私は柔道家には『畳以外でする柔道』があったりすると思っています。斉藤仁さんが鬼の気迫で戦った終生のライバルであった山下康裕氏と、現役中はバチバチしつつも現役を退いてからはしっかり連携する姿が記されいる箇所に私は『畳以外でする柔道』を感じました。正に柔道の教えにある『自他共栄』。かつて敵意を持って切り結んだ相手に芽生える不思議な尊敬の念、そこまで行けたら真の柔道家なんだろうと思いました。
【了】


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