唐津一「かけひきの科学」読書感想文 - 寅治郎トライのラジオブログ

どうも寅治郎トライです。

お金持ってないのに持ってるという『情報』バラ撒いて駆け引きだ！

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【かけひきの科学】
これは唐津一さんの著作で、かけひきとは何なのかを古今東西の政治史、経済史、社会史から例を引いて論じています。特に『情報』が大事という内容で本は進みます。精度のある『情報』が駆け引きの基礎になると結論しているようです。

【駆け引きとは何だ？】
私見を述べさせていただけば、駆け引きとは『自分が有利な立場を得たり、自分が勝利したりするために行う、本来そのジャンルの王道とは言えない所作』と私は考えます。以下、具体的な例をあげます。

【恋の駆け引き】
例えばA子ちゃん(♀)には男友達のB郎(♂)がいたとします。平素B郎と話していると、気が合って時間が楽しく過ぎるので、B郎のことが好きになって、付き合いたいと思っている。またB郎と接している時の態度から、B郎もおそらく、同じ気持ちでいてくれているように思う。そんな時恋の王道を言えば、A子は自分からB郎に『好きです。付き合って下さい』と言う選択があります。しかしそこはフラレて傷心になるリスクを回避してか、はたまた『男から口説かれたい』乙女心が発動したのか、自分から告白はできない。そこでA子は、好きではないC太(♂)と仲良くしている様をB郎に見せつけます。

つまりA子は恋の王道である自分からB郎に『好きです』と言う手法はとらず、王道とは真逆にC太と仲がいいという『情報』をB郎に見せつけ、B郎を嫉妬させ、B郎に『C太に取られる前にA子に告白する』という行動を取らせる作戦に出たのです。私はこのような内容を駆け引きと定義します。

しかしこの駆け引きはリスクがあります。A子とC太の仲があまり良く見え過ぎると、B郎は嫉妬はしますが『なんだ俺よりC太の方が好きなんじゃないか！俺はお呼びじゃないんだ』という心理になりA子を口説く所か、A子から興味を失います。なのでA子はB郎が軽く嫉妬する程度の、仲良さでC太と接しなければなりません。丁度いいあんばいの『演技』が必要なのです。またC太はあくまで駒なのでC太を勘違いさせてはいけません、勘違いしておかしくなる人もいるからです。

【柔道の駆け引き】
柔道には『返し技』という技があります。対戦相手が掛けてきた技を後ろにひっくり返ような技です。この『返し技』は、相手のかけてくる技やタイミングに対応できれば、わりかし簡単に成功します。なので「敢えて王道的に自分で積極的には攻めず、見の時間を増やし、心を整えつつ、相手が技を掛けやすいような間合いを作っておいて『今、掛け安いですよ』という『情報』を与えて、実際技を掛けてきた時に『返し技』を狙う」なんてのも戦略の一つです。この『今、掛け安いですよ』という『情報』を与えることを私は駆け引きだと定義します。

しかし！この駆け引きにもリスクがあります。『返し技』のタイミングを見計らって自分で技を掛けず見に入っていると、柔道では積極性に欠けるという理由でマイナスポイントが入ります。また対戦相手が予想外に技のキレる方だと返すハズだったのに、技が上手すぎて投げられることもあります。

【だ・か・ら、駆け引きとは？】
恋、柔道の例を見て改めて定義すると駆け引きとは『自分が有利な立場を得たり、自分が勝利したりするために行う、本来そのジャンルの王道とは言えない所作でリスクが伴うモノ』と言えると思います。そして駆け引きとは王道や本質に悖る、その場限りの『演技』や『情報』であることがほとんどのため、ちょっと志の高い人には見破られます。見破られた『演技』や『情報』は一瞬で無価値になり、内容によっては、駆け引きを仕掛けた人の総合的な信用低下につながります。ですが、極度の切迫した状態で、相手が冷静な思考を欠いている時に駆け引きは成功し安いのも事実。そして人間にはどうしても『勝ち』に拘らないといけない時があるのも事実。駆け引きを使う使わないは、その人間の教養・学問・性格・判断力に委ねられている！